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齊藤工監督作『半分ノ世界』の撮影現場に潜入
2014年06月05日 16時55分 [邦画]
『半分ノ世界』撮影風景

俳優の齊藤工が、自身2度目となるショートフィルムの監督に挑戦し、米国アカデミー賞公認・アジア最大のショートフィルムの祭典「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」で特別上映されることが決定。4月下旬に都内の学校で行われた『半分ノ世界』の撮影現場に潜入した。

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本作は、ソフトバンクのスマートフォン向け総合エンタメアプリ「UULA」との共同製作作品で、同映画祭の「ミュージックShort」部門で上映される。齊藤監督は「大橋トリオ」の楽曲「HONEY」にインスパイアされる形で、若手女優の田辺桃子、井浦新を主演に迎えて製作。心に孤独を抱えた女子高生と、定時制のクラスに通う車椅子の男性が、高校の机の落書きを通じて心を通わせていくさまを描き出す。

撮影は都内の学校などを使用して3日間に渡って実施。取材に足を運んだのは中日で、田辺が演じる少女の美術室でのシーンが中心に行われた。前日はあいにくの雨模様だったが、作品が数日の物語であることを生かして、急遽、予定にはなかった“雨の日”を設定し、雨に濡れた窓のカットなどを撮影。齊藤監督は「撮影監督をはじめスタッフのみなさんが、僕があれこれと言う前からいろんなアイディアを出してくださり、現場を好転させてくれる」と全幅の信頼を寄せていた。もちろん齊藤監督も“監督”として自らの考えを伝え、俳優陣ともコミュニケーションを取り合っており、この日も、田辺の元に近づき、これから撮影するシーンに関して、少女の心情や視線、表情などについて話し合う姿が見られた。

撮影の合間に齊藤監督に話を聞くと、田辺と井浦について「ふたりは基本的に撮影は別々なので“化学反応”というよりも単体のふたりの主人公のはずなんですが、共通するものをいっぱい持っていて、こちらが思わず『カット』と言えなくなってしまうような引力を持っている。セリフも少ないんですが、目の力などだけで、鳥肌が立つくらい素晴らしい」と手放しで称賛していた。

齊藤監督は「決して監督志望ではない」と言いつつも、現場で「スタート!」と掛け声を出すのは「気持ちいいですね」と笑顔を見せる。「前回、監督をした時は、自分も出ていたので、ほとんど声を掛けることはなかったんです。今回、この掛け声は単なる始まりのきっかけではなく、その場の音や空気を制する力を持ったリセットボタンなんだというのを実感しました。“空気”を作る意味を持ってるんですね」。

齊藤監督が作り上げた空気が、どのように作品に反映されるのか? 楽しみにしたいところだ。

『半分ノ世界』ほかSSFF&ASIA×UULAショートフィルム特別製作プロジェクト全6作品
UULAでも順次配信中

取材・文・写真:黒豆直樹

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