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14年前に解散した劇団「惑星ピスタチオ」での活躍や、最近では松山ケンイチが舞台初主演した『遠い夏のゴッホ』でも注目を集めた作・演出家の西田シャトナーが、自作を演出するプロジェクト「シャトナー of ワンダー」を立ち上げた。その第一作に選んだのが『ロボ・ロボ』だ。主演は舞台出演が続く矢崎広。家電ロボットだけの世界を描いたこの作品で、「レコーダー」という記録ロボットの役に挑む矢崎が、西田とともに意気込みを語った。
輸送中の事故によって孤島に7体の家電ロボットだけが残されたところから始まるこの舞台。新たに始動させるプロジェクトの第1弾に『ロボ・ロボ』を選んだ理由を、西田はまずこう語る。「これは人間の本質を探りたいと思って書いた作品です。たとえば、矢崎くんが演じるレコーダーは、自ら機能を停止することができずに記録し続けるんですが、人間に認められることのないその孤独は、まさに我々人類が抱えているものと同じ。ロボットのドラマに人間の姿が純粋に凝縮されているんです」。一方、ロボットを演じながら普遍的な人間のテーマを表現するという難題を与えられた矢崎は、「SFが好きなので台本を読みながらどんどん想像が膨らみました。でも、これをどう舞台に乗せるのかっていうのは逆にまったく想像ができなくて。それぐらいのりしろの部分が残してある。それこそがこの舞台の面白さになるんだろうなと思いました」と、未知なる世界への期待を膨らませる。
実際には俳優たちは、“ロボットマイム”でロボットを表現する。西田いわく、「ロボットには与えられた機能に限りがあるから、逃げようと思っても速く走れなかったりする。その一定の動きしかできないという制約の中で生きている様子も人間に通じる」ということになるのだ。また、矢崎のことを「気持ちの見えるアクションをする俳優」と評する西田に対して、「アクションやダンスもすべて芝居だと捉えて演じています」と答えた矢崎。ロボットマイムの中にも必ずや、豊かな感情を見せてくれるはずだ。「伝えたい感情が伝わらなかったり、やりたいことができなかったり、ロボットたちのようにままならないことが世の中にはたくさんある。それでもどうやって希望を持って生きるかっていうことを、自分にも問いかけながら作っていって、観る方の本質に問いかけられる作品にしたいと思います」と語った矢崎。その真剣な表情に、ロボットが見せてくれる深く壮大な世界が見えた。
8月29日(金)から9月1日(月)まで東京・サンシャイン劇場にて。チケット発売中。
取材・文:大内弓子
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