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ここまで詳細の説明が不要な作品も珍しい。あの『ルパン三世』の実写版。そのひと言で十分だろう。製作決定が報じられて以来、時に期待の声だけでなく、実写化を疑問視する声にもさらされてきたが、その答えがまもなく出る。公開を前に小栗旬、玉山鉄二、綾野剛に話を聞いた。
ルパンに次元、五ェ門。ベタベタした友人ではなく、どこか乾いた…それでいて互いの腕を信頼している関係が“ルパン一味”の3人の男たちの魅力と言える。小栗は「不思議なんだけど、関係を“作る”という感じじゃなく、気づいたらそうなってた。いまだにみんなでタイでの撮影の2か月のことを話し出すと、数時間笑っていられるし、それを家で妻に話すと『はいはい。みんな楽しかったんですよね』と、苦笑されるんです(笑)。何か特別なチームができたんだなって感覚がある」とうれしそうに語る。
とはいえ、決して競争心や互いを意識する気持ちがなかったわけではないと明かすのは玉山。それは撮影前のトレーニングのことだ。「旬が通う格闘技のジムに連れて行ってもらったんですけど、旬の中にも『お前、どこまでできるの?』とこちらを牽制するような気持ちはあったと思う(笑)。僕は吐きそうなくらいキツくて、帰りに互いの車が並んだ時、僕はブレーキ踏むのも厳しいのに、旬は涼しい顔して飛ばしていったんです。そこで無性に腹が立って『おれも頑張らなきゃ』って思った。でも実は旬も1回目の時は吐いたらしくて『なんで鉄ちゃんは吐かないんだ?』って思ってたらしいんです(笑)」。
小栗は「確かに『行こうよ、鉄ちゃん』と誘った裏に『おれは相当、やってるよ』というメッセージがあったのは確かですね」といたずらっぽい笑みを浮かべうなずく。
綾野は、劇中の関係性に合わせて共演者と親密になったり、あえて距離を取ったりすることは「僕の中ではあまり重要じゃない。いつも通りのまま、旬とも鉄ちゃんとも一緒にいた」と語りつつも、最後にこう付け加え、熱さをのぞかせる。「“あの”ルパン三世を演じるということで、旬なりに覚悟を決めた部分はあったと思う。そこで僕も同じテンションでいたいという思いはありました。スケジュール的に僕はタイと日本を行ったり来たりになったこともあって、なおさら現場では同じ“体温”でありたいなという気持ちでした」。
小栗は公開を前に「うれしい反面、寂しさもある」とも。全てをやりきった清々しさと自信、期待、そして不安。全てを胸に抱え『ルパン三世』が船出する。
『ルパン三世』
8月30日全国ロードショー
取材・文・写真:黒豆直樹
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