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東京芸術劇場と韓国の明洞芸術劇場の共同制作による舞台『半神』が、9・10月にソウルと東京にて上演される。東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹が、オーディションにて韓国人俳優のオールキャストを選出。漫画家・萩尾望都との共作である本作を、15年ぶりに演出する。2005年にソウルで『赤鬼』韓国バージョンを演出、出演し、韓国人俳優やスタッフと作業をした経験を持つ野田は「それまでの海外との共同制作は文化の違いによる驚きが新鮮だったけれど、ソウルは東京と似ていて、言葉が違うだけで違和感なく生きられる。この感覚は何だろう!?と思った。いつかまた韓国と作業をして、本当に違いはないのか、それとも実はこんなに違うんだ!と感じるのか、見極めたいと思っていました」と語る。
シャム双生児の姉妹をめぐる物語である『半神』は1986年に初演。野田が主宰した劇団夢の遊眠社の代表作のひとつとして知られている。今回、ソウルで行われたオーディションには400名を越す応募があり、その中には主演級のベテラン俳優も数名含まれていたという。結果、野田が選んだのは実力派から新人まで、12名の個性豊かな面々だ。
「最初はフィジカル面を重視するつもりだったけど、選ばれた中には“この人、途中で息切れしちゃうかも”って人も(笑)。フィジカルというのは必ずしもエネルギーだけではないかな、と。シャム双生児の姉・シュラを演じるチュ・イニョン(日韓合作舞台『焼肉ドラゴン』に出演)は、相手との距離感をちゃんと測れる、高い資質を持った女優です。妹・マリア役のチョン・ソンミンもタイプは違うけれどクレバーですね。また実力派のベテランと聞いていたソ・ジュヒは本当にスゴかった。最初からとても開かれた表現をするので、彼女と一緒に仕事をするのが楽しみです。逆に先生役のイ・ヒョンフンは極めて無名の役者なので、ソウル側の人が驚いて慌ててた。年功序列とか、僕にはわからないからね(笑)」
ほか、初演で野田が演じた老数学者/老ドクター役を、『赤鬼』で野田と共演したオ・ヨンが担う。およそ30年前に生まれた本作を選んだ理由について、野田は「人間の孤独はどこから来るのか……といった、人が生きている以上必ず感じることをモチーフとして扱った作品。どこの場所でやっても受けとめやすい普遍性を持っている」と説明。その普遍のテーマを掘り起こす新たな道筋を、異なる言語と情緒を持った俳優陣といかにして切り拓いていくのか。刺激的な共同作業の結実を、秋の東京芸術劇場でしかと見届けたい。
「韓国の演出家と話をした時に、“韓国人が持っている二面性をあらわにしてほしい”と言われて。儒教社会でのリスペクト精神が表とすれば、その裏側は利己的なものが潜んでいると(笑)。とてもよくわかる気がするんです。そういう意味でも、韓国人俳優の持つパワーをあおりたいと思う。この作品から、彼らしかみつけられないものが見えてきたら面白いだろうと思いますね」
10月24日(金)から31日(金)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケット発売中。
取材・文 上野紀子
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