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田代万里生と平方元基が出演するふたりミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』が、10月4日(金)に大阪・新歌舞伎座にて開幕する。今回は、先日お届した稽古レポートとは逆バージョンとなる、田代がアルヴィン役、平方がトーマス役を演じる模様をレポートする。
本作は、作詞・作曲をニール・バートラム、脚本をブライアン・ヒルが手掛け、2006年の初演以降、世界各地で上演されているミュージカル。日本初演となる今作は、田代と平方が公演によって役を入れ替える2バージョン公演。演出は高橋正徳(文学座)が手掛ける。
同じ町で育った書店員・アルヴィンと、ベストセラー作家・トーマスの友情の物語。トーマスが、小さい頃にアルヴィンとした「片方が死んだとき、残ったほうが弔辞を書く」という約束を果たしに故郷に帰って来るところから始まる。弔辞を書こうとするが、一向にペンが進まないトーマス。そこに死んだはずのアルヴィンが現れて、幼い頃からのふたりの思い出を転々と辿り始める。そこに広がるのは、親友の死に際して思い出すにはあまりにもささやかな瞬間の数々。けれどトーマスは「何を見落とした?」「いつ壊れ始めた?」「その瞬間何してた?」と、アルヴィンという存在と向き合い始めるのだった――。演出の高橋は、観客がその“瞬間”を見逃すことのないように、台詞はもちろん、視線を動かすタイミングやふとした仕草まで、キャストと丁寧に話し合いながら詰めていく。出演者がふたりしかいないからこそ、細かな作り込みができるのだと感じた。
田代のアルヴィン、平方のトーマスには、前回の取材で逆バージョンを見学したからこその驚きがあった。きれいに馴染んでいるため、逆の役を演じる姿が思い出せなくなるのだ。この取材のバージョンでは、田代のアルヴィンの透明感、平方のトーマスの頑なさは、それぞれにしか出せないものだと感じる。けれど逆バージョンでも同じことを思ったのだ。これは田代と平方の力を思い知らされる瞬間でもあった。また楽曲…特にふたりで歌う楽曲でも、役同様、歌のパートが入れ替わる。それによって「ハーモニー」という意味でも、「表現」という意味でも、まったく違う響きが生まれ、作品そのものの深みを感じさせてくれた。両バージョンを観ることで、作品の奥行きや世界観を最大限に感じられるだろう。
公演は10月4日(金)から5日(土)まで大阪・新歌舞伎座、10月9日(水)から16日(水)まで東京・よみうり大手町ホールにて上演。その後、水戸、名古屋を巡演。チケットはぴあにて発売中。
取材・文: 中川實穂
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