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演 劇
舞台『ロビー・ヒーロー』が2022年5月6日(金)から新国立劇場小劇場にて上演される。
本作は、映画脚本家・監督としても有名なケネス・ロナーガンの作。日本初演となる今回は、小川絵梨子芸術監督によるシリーズ「声 議論,正論,極論,批判,対話...の物語」の第二弾としての位置づけで、新国立劇場初登場の桑原裕子が演出、浦辺千鶴が翻訳を担う。中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎が出演する。
4月下旬、稽古場の様子をオンラインで見学した。
物語の舞台は、マンハッタンにある中間所得層向け高層マンションの広いロビー。警備担当のジェフ(中村 蒼)は、人生の目的もなくこの仕事に就いている。真面目で向上心のある上司ウィリアム(板橋駿谷)は、不良の弟が殺人罪に問われ、心配していた。見回りに来た有能な警察官ビル(瑞木健太郎)と、相棒の新人見習いのドーン(岡本玲)。どうも二人は仲がいいようだ。ロビーで待っているドーンに、ビルの訪問先は女性だと口を滑らせてしまうジェフ。動揺したドーンはビルにかみつくが、本採用されないぞと逆に圧をかけられてしまう。翌日、弟のアリバイを偽証したウィリアムに対して、自分が何をすべきか悩むジェフ。ドーンは本当のことを話すのがあなたの責任だと説明するがーー。
非常に濃密な会話劇。この日の稽古は、まず冒頭のシーンであるウィリアムとジェフの2人だけのシーンを繰り返した。膨大なセリフはすでに俳優たちの頭に入っていて、今は細かいニュアンスあるいは全体の流れの調整をしている段階。桑原の演出は、基本的に俳優たちのプランを信頼していると思うが、気になったことは細かく指摘する印象を持った。たった4人の登場人物たちが織りなす芝居ゆえ、丁寧につくりあげているのだろう。
登場人物たちそれぞれが悩んだり迷ったりしつつ発言し、その発言が思わぬ方向に人を動かしてしまったり、自分の正義や価値観が他人には通じなかったり......。マンションのロビーという空間で繰り広げられる人間模様が描かれているが、それは人種やジェンダー、階層などさまざまに絡み合う差別の実情と、それに抗い、葛藤する人々の姿でもある。自己承認欲求がSNSであふれ出す現代で、さまざまな角度から考えられ、また身近に感じる戯曲。どんな仕上がりになるのか、開幕を待とう。
公演は5月22日(日)まで。
取材・文:五月女菜穂
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