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風間杜夫、小泉今日子、大森南朋、鈴木砂羽ら魅力的なキャストを揃えた、岩松了作・演出の「恋する妊婦」が渋谷・シアターコクーンで上演中だ。”妊婦が恋する”という少々不道徳なタイトルを冠した本作は、1994年に水戸芸術館ACM劇場にて初演されて以来、再演を望む声がありながらなかなか上演されなかった”幻の作品”だ。舞台は大衆演劇の芝居小屋。そこに寝泊りをする旅回りの劇団、坪内竹之丞一座の物語である。
この一座には、ある巡業先で二枚目俳優・慎之介(姜暢雄)と女優のあざみ(中込佐知子)が駆け落ちする騒動が持ち上がっている。座長(風間)は座員からママと慕われる妊娠中の妻(小泉)のとりなしもあり、何とかふたりを許すことに決めるのだが、副座長の橋本(大森)は、この座長の決定が面白くない。そこに、あざみがひとりで小屋に戻ってきて、座員のいる前でママに詰め寄り、こう言い放つ。「(ママの)そのお腹の赤ン坊の父親が慎之介だってのが、ホントか嘘か」
登場人物はみな、分別のつく大人達だが、自分の身の置きどころを探して、どこかしら”イラッ”としている。座長は若手の役者に慎之介の今後の扱いを訊かれると、座員から信用されていないと感じてか怒鳴り散らす。ママは、副座長の夫を上手く操縦できず悶々とする橋本の妻・波江(佐藤直子)に向かって、ちょっと上から目線で女としてのダメ出しをする。また橋本の妹・さつき(鈴木)は、ママに女としてかなわないと思っているのか、物語の核心を突くような挑戦的な質問をとことんぶつけるといった具合だ。一座に野菜を届けに来る八百屋の福田(荒川良々)や、社会研修で一時的に入ってきた学生(森本亮治)らも加わり、寝食を共にする一座の中の複雑にからみあう恋愛関係や心の内にある感情が会話の端々から見えてくる。観客はひとりひとりの人間が矛盾をはらみながら生きているということを痛感させられるのだ。
風間は座長という立場でありながらまるで会社の中間管理職のような心の揺れを、また小泉は大きなお腹をかかえながらも可愛さ、ずるがしこさ、なまめかしさなど、女の多面性を見せて好演した。役柄のキャラクターを活かし芝居をグッとタイトに引き締めた大森、冷静と熱情の間を行き来するさつきを演じた鈴木の演技も見逃せない。
この舞台は、渋谷・シアターコクーンで2月28日(木)までの上演となる。
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