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「今年は今年の面白さ」 KAATキッズ・プログラムが今年も開幕へ
2022年07月15日 18時50分 [演劇]

“体感型”キッズ・プログラム『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』が2022年7月20日(水)からKAAT神奈川芸術劇場で開幕する。

夏休み、どこにも行けず、ひとりぼっちの男の子。とある公園で遊んでいると、森の精霊たちに出会い、ふしぎなボウケンの旅に出る。この世とあの世をつなぐボウケントンネルをくぐると、森の奥深くに木の神様ククノチが現れる。男の子はククノチから、生と死は遠いものではなく、亡くなった親しい人たちは自然に還っていくことを知る。森の儀式が繰り広げられ、やがて大好きだったおばあちゃんの姿が見えてくる......というあらすじ。

「初演を客席で観ていて、攻めているなぁと感じた。(キッズのための演目だからなどと)迎合せずに突き進んでいけば、子どもたちを含め、多くの方々に伝えられるものがあるのではと思っています」と話すのは、今回初参加の川合ロン。「身近だけど、言葉で考えることが少ない“命のめぐり”がテーマ。漠然と怖い/分からない/不思議と思っていることを、身体で説明していく。戯画的にならずに、作品世界を提示しながら進めていくのが面白い」と評する。

初演に引き続き出演する黒須育海は「(前回よりも)明確になったシーンがあるほか、それぞれの存在も色濃く出るんじゃないかなと。去年はクールでソリッドな感じだったけど、今年はロンさんが踊るので、穏やかに包んでくれるような感じ。同じ振付でもダンサーが変わると全然違って、今年は今年の面白さが見られると思います」と話す。

振付・演出は北村明子。北村について、黒須は「他の振付家にはない、独特の緊張感や圧があって、いい意味でドキドキする」。一方、川合は「一つ一つの動きの中にエネルギーを宿していないとすぐバレてしまう」と話す。そして「エネルギーを渡すことを体の機能として持っていないと、美しく見えなかったり、彼女の求めているものにタッチできなかったりする。ダンサー同士の間でも、お客さんとの間でも、エネルギーが巡っていないと、フレッシュではない、と。それを常に求められている感じがします」と話した。

大小島真木による美術も見どころ。「大小島さんの美術を見ていると、いろいろな生き物の上に僕らは立っていて、当たり前のように血が流れていて、心臓が動いているんだよなと再認識させられる。生きているという、言葉にならない何かが伝わるのではないかなと思う」と黒須は魅力を語る。

観客へのメッセージとして、川合は「今の子どもも、かつて子どもだった人も、不思議な世界を体験したり、想像したりした人ばかりだと思う。ダンスでは、全員が持っている身体の中で何が起こっているか、想像の中で何が見えてくるのかということを表現するが、この作品はそうしたことが丁寧に描かれていると思うので、ぜひ体験しに来ていただきたい」と語った。

公演は7月24日(日)まで。お面をつくって参加すると、より作品を楽しめるという。ぜひ事前にご準備を!

取材・文:五月女菜穂

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