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演劇集団キャラメルボックスの“クロノス・シリーズ”最新作、『きみがいた時間 ぼくのいく時間』が、2月28日、東京・サンシャイン劇場で幕を開けた。映画『黄泉がえり』でも知られる作家・梶尾真治の短編集『クロノス・ジョウンターの伝説』をベースに生まれたこの人気シリーズも、05年『クロノス』、06年『あした あなた あいたい』『ミス・ダンデライオン』に続いてこれが4作め。劇団公演は約3年ぶりとなる上川隆也が、古巣に戻って生き生きと舞台を楽しんでいる様子も見どころだ。
物語は住島重工の研究員・秋沢里志(上川)が、海外派遣から帰国するところから始まる。空港に出迎えた妹の真帆(岡内美喜子)の計らいで、忘れられずにいた元恋人の梨田紘未(西山繭子/客演)と再会する里志。一方、本社からは子会社P.フレックへの出向と、極秘案件「クロノス・スパイラル」の研究を命じられる。39年前の過去にだけタイムトラベルが出来るという説明に初めは戸惑うものの、里志は徐々に研究に没頭し始める。紘未との新婚生活も始まり、公私共に充実した毎日を送っていた里志は、ある日、紘未が事故にあったという電話を受け……。
里志を演じる上川は研究員という設定ながら、茶髪の無造作ヘアにグレーのカジュアルスーツという、イマドキの青年のいでたちで登場。空港での真帆とのやりとりでは理詰めでものを言うガチガチの理系らしさを見せるものの、元恋人・紘未との再会にとたんに挙動不審になる様子がほほえましい。結婚式、新婚生活と明るい場面が続くが、紘未が事故に遭ったことで幸せムードは一変。里志はその事故を防ぐため「クロノス・スパイラル」で39年前に向かい、1970年から2009年までの里志の孤独な戦いが描かれる。
39年後に起こる事故を防ぐために一人で生きる里志の姿は、それまでの充実した幸せな姿とは対照的で胸に迫る。ともすれば暗くなりがちなシチュエーションだが、演出の成井は、里志の内なる存在である紘未と、この舞台の進行役を務める妹の真帆をしばしば舞台上に登場させることで、温かい空気感を醸し出すことに成功した。複葉機を模した「クロノス・スパイラル」や、里志と紘未の思い出の場所である馬車道ホテル、また母から娘へと受け継がれるカメオなど、「時間」と「思い出」をキーワードに紡がれるのは、キャラメルならではの“大人のファンタジー”である。
公演は4月7日(月)まで同劇場にて。4月12日(土)〜17日(木)は新神戸オリエンタル劇場、4月23日(水)〜28日(月)までは大阪厚生年金会館で上演される。
(取材・文:佐藤さくら)
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