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右近&段治郎がダブルキャストで再び挑むスーパー歌舞伎の代表作
2008年03月05日 17時52分 [歌舞伎・古典芸能]
スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』

ストーリー、スピード、スペクタクル、この3要素を兼ね備え、市川猿之助が現代に生み出した新たなる歌舞伎「スーパー歌舞伎」。その代表作『ヤマトタケル』が、市川右近・市川段治郎のダブルキャストで、3月5日(水)東京・新橋演舞場にて3年ぶりに開幕した。

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大和の国の英雄・小碓命(のちのヤマトタケル)の生涯を描いた、猛々しくも悲しい物語『ヤマトタケル』。全三幕、休憩まで含めると約4時間半という大作にもかかわらず、決して長く感じない。作品全体を駆ける疾走感、それがスーパー歌舞伎が掲げる"スピード"そのものになっており、第一幕・第二場の大きな見どころにもなっている。兄・大碓命の謀反を知り、誤って兄を殺めてしまう小碓命。双子の兄弟の斬り合いを1人2役の早替えで演じるのだが、この早替えがその名にふさわしく早い! 大碓命から小碓命へ、小碓命から大碓命へ。殺陣の美しさとも相まって、その妙技に片時も目を離すことができなかった。第二幕の第三場には、"スペクタクル"を代表するシーンが。東国・蝦夷討伐のため、焼津に立ち寄ったタケルは、相模の国造・ヤイラムの罠にはまり火攻めに遭ってしまう。真紅の布が波打ち、真っ赤に染め上がる舞台。そこを縦横無尽に飛び交うのは、火の精を演じる京劇俳優たち。タケルたちと人間業とは思えない超絶アクロバットで魅せる火の精との死闘は、幻想的かつ壮大なものとして、第二幕の大きな見どころとなっている。そして"スペクタクル"最大の見せ場となるのが、ラストの宙乗り。志なかばで命尽きたタケルが、身の丈ほどもある羽根をはばたかせ、白い鳥となって空へと舞い上がっていく。圧倒的な迫力と美しさ。スーパー歌舞伎以外の何ものでも味わえない魅力が、このシーンに凝縮されていると言えるだろう。

今回で6度目の再演となる本作。ここまで観客に愛されるのは、“ストーリー”による部分も大きい。主人公・ヤマトタケルは、決して完全なる英雄ではない。父に愛されていないと泣き崩れ、自分の力を驕ったために不覚を取ってしまう。このなんとも人間くさいタケルが主人公だからこそ、観客の心に強く響くのだ。

ヤマトタケルとタケヒコの2役に挑む右近と段治郎は、3年前の公演に続いての再登板。初の猿之助不在という重責から、ともにこの大役を掴み切れずにいたようにも見えた前回。しかし3年という年月は、役者として彼らに大きな成長をもたらしたようだ。小粒でピリリと辛い右近版タケルに、キリリと瑞々しい段治郎版タケル。それぞれに違った味わいがあり、どちらの舞台からも己のタケル像を手にした自信がみなぎっていた。

本公演は、3月25日(火)まで同劇場にて、その後、4月福岡・博多座、5月大阪松竹座、6月愛知県・中日劇場にて上演。4大都市をめぐる4ヵ月公演はスーパー歌舞伎史上・最大規模となる。

取材・文:野上瑠美子

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