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“12歳”は人を変えるのか。演劇集団キャラメルボックス 2008ハーフタイムシアターが開幕
2008年06月09日 19時25分 [演劇]
『ハックルベリーにさよならを』 撮影:伊東和則

ハーフタイムシアターは、演劇集団キャラメルボックスが1989年からスタートさせた一本60分の短編作品を2作品連続上演する形態。その最新公演『ハックルベリーにさよならを』『水平線の歩き方』が6月8日、新宿のシアターアプルで幕を開けた。

『ハックルベリーにさよならを』は12年ぶりの再演作品。小学校6年生のケンジは、家庭教師のコーキチくんに教えて貰ったカヌーに夢中。しかし母さんはボートですら乗ることを許してくれない。離れて暮らす父さんと会う月に一回の面会日は、母さんに隠れてボートに乗れる唯一の日だ。しかしある日、父さんの部屋に行くと見知らぬ女性、カオルさんがいた。カオルさんと再婚したいという父さんの言葉にやりきれなくなったケンジは、公園のボートで川を下る。

だだをこねるほど“子供”ではない。でも大人たちの都合をすんなり受け入れられるほど“大人”でもない。12歳という微妙な年齢ゆえに、ケンジが繰り返す「僕は一人になりたい」という言葉が胸に刺さる。かつて12歳だった私たちの中にも確かにあったやるせなさや激情を、ケンジ役・實川貴美子は実にリアルに表現。きっと今この瞬間にも、たくさんの“ケンジ”がいるのだろう……そんなことを感じさせられた作品だ。

一方の新作『水平線の歩き方』は、苦い思いや辛いことを乗り越えてきて“大人”になった今だからこそ観たい作品。主人公・幸一が自分の部屋に帰宅すると、そこには自分が12歳の時に亡くなった母・アサミが居た。やがて幸一はアサミが死んでからの孤独だった23年間を語り始める…。

目の前の母が現在の自分より若いということへのかすかなとまどいも感じさせつつ、久々の再会を楽しむ幸一。しかし話すうち、35歳の彼が持つ強さと弱さが徐々に露呈されていく。ひとりで生きていかざるをえなかった、そういう状況に置かれてしまったから……。しかし、最後になぜアサミが現れたかという理由が判明したとき、そこには大きな衝撃と感動が待っている。“あなたはひとりじゃない”そのメッセージに落涙必至の名作だ。60分ほぼ出ずっぱりで幸一を演じる岡田達也の熱演にも注目。

双方とも、60分という作品ならではの感動がそこにある。キャラメルボックスの持ち味である疾走感はもちろん、短い作品ゆえ、メッセージがよりシンプルに、ダイレクトに響いてくるのだ。そして両作品ともキーになっているのは12歳という年齢。もしこの年齢に何か少しでも思うものがある人がいれば、劇場へ足を運んでみてほしい。あなたの中で何かが、少し変わるかもしれない。

公演は2008年6月29日(日)まで東京新宿・シアターアプルで上演。7月6日(日)から13日(日)まで新神戸オリエンタル劇場、7月18日(金)から20日(日)まで名古屋・名鉄ホールで上演される。

 取材・文:川口有紀

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