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ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス。このカンパニー名を聞いたことのない人でも、デヴィッド・ボウイ、フランク・ザッパ、ソニック・ユース、ナム・ジュン・パイクといった名を連ねれば、興味を持つ人も多いだろうか。ダンス・ファンのみならず、上記に挙げた名アーティストとの刺激的なコラボレーションなどで、音楽や美術界からも熱い視線を浴びるカナダ発のコンテンポラリー・ダンス・カンパニー、それがラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスだが、最新作「Amjad アムジャッド」を携え、7月彩の国さいたま芸術劇場にやってくる。光と影の対比を巧みに利用した劇空間で重力さえ感じさせないような"高速ダンス"を繰り出す彼ら。カンパニーを率いる演出家・振付家でステージの映像も手がけるエドゥアール・ロックに話を聞いた。
新作は『白鳥の湖』『眠れる森の美女』という古典バレエの要素をもとに創り上げている。
古典バレエをモチーフにしながらも、ロックが振付ける作品は力強く、激しく、狂乱に満ちているといってもいい。クラシックバレエやダンスは重力との闘いだと思うが、重力と身体の関係性は?
「クラシックバレエの重力からの離反というのは、宮廷社会などの日常からの離反の理想化ともいえるでしょう。しかしそれは“政治的”という意味において現代では失われている。(今回男女ともに見せる)ポアントというテクニックが本来持つ意味を失った現代において、その美しさをなおも保つためには、どう表現するべきか。クラシックバレエというのは、身体を物質として提示し、理想的なものとして提示するという美学に基づいている。それも現実と理想の身体を引き離す力として解釈できるのではないでしょうか」
現実の体と非現実の体のコントラストや、舞台上で見せる光と影のコントラスト。非常に完成度が高いステージを作り上げているが、観客の視線をどうコントロールしているのか?
「舞台と映画でのダンスの違いは、スクリーンと違い舞台の観客の視線が必ずしも皆同じではないところにあります。自分にとっては映像のモンタージュが舞台における光の使用になります。光というのは何かを見せるのではなく、何かを再配置し、強調する。つまり光を当てる角度が違うだけで、観客の目というのがまったく新しい状態で主体を見ることになるんです」
新作の舞台には白い光の円が現れ、観客の視線を巧みに誘導するエドゥアール・ロック。タイトルの「Amjad アムジャッド」は、彼が生まれたモロッコ語で"すばらしい、驚くべき"という意味だそうだが、ダンス、アート、音楽のすべてにエッジを利かせた"驚くべき"新作を心待ちにしたい。注目のステージは、7月4日(金)〜6日(日)、彩の国さいたま芸術劇場で行われる。
※ポアント…足のつま先のこと。トゥシューズでつま先立ちした状態を、「ポアントで立つ」という。ここでは、「ポアントで立つ」というテクニックを指す。女性ダンサーが使うテクニックだが、今回の作品ではロックは男性ダンサーにもこのテクニックを使用している。
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