タレントweeker

女優の松たか子と鈴木杏。ともに実力派と名高いふたりが初めて顔を合わせ、初参加するのは、阿佐ヶ谷スパイダース主宰の長塚圭史作･演出による新作だ。長塚は“家族”をテーマに、PARCO劇場で3年ごとに新作を発表しているが、今回は2002年の｢マイ･ロックンロール･スター｣、2005年の｢LASTSHOW｣に続く3作目となる。魅力的なキャストを得た、この注目の舞台「SISTERS」が7日、PARCO劇場で幕を開けた。

舞台はうらぶれたホテルの一室。壁は灰色で黒ずみ、窓は汚れている。天井近くから大きく入った壁の亀裂は床にも続いており、不穏な空気を醸している。この部屋に夫(田中哲司)とともに一時滞在する妻･馨(松たか子)は、何やら子供の頃に大きな心の傷を負った様子。その馨を、父親にただならぬ愛情を抱く娘･美鳥(鈴木杏)が訪ねてくる。好奇心旺盛で質問攻めにする美鳥に拒絶反応を見せる馨。だが、馨は美鳥に自分と相通ずる部分を見出し、気持ちを通い合わせる。やがて、馨の閉ざされていた過去の扉が開いて……。

今回心に堅い種子のようなトラウマを宿す鬱屈した新妻を演じている松は、私生活でも新婚。公演前の会見で「人の数だけいろんなタイプの新妻がいると思いますが、(自身の境遇と)偶然にもほどがあるというぐらいのタイミング。自分自身の生活がこの芝居にどう作用するかは分かりませんが、表現の場を与えてもらって、こういう場で思い切りできたら、それが私の新婚生活だと思っています」とコメントした。また約2ヵ月のNY語学留学を経て“まっさらな気分”で役に臨んでいるという鈴木は、「初めて長塚さんの作品に出られるのはラッキーと思ったし、また松さんの大ファンなので、ふたつの夢が1度に叶って嬉しい」と、興奮げに語った。

本作は、8月3日(日)まで渋谷･PARCO劇場にて上演。その後8月7日(木)〜10日(日)に北九州芸術劇場、14日(木)〜17日(日)は新潟市民芸術文化会館劇場、20日(水)〜24日(日)までは、梅田芸術劇場 シアター･ドラマシティと各地を回る。

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