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チャン・ツィイー主演の『女帝[エンペラー]』やアンディ・ラウ主演の『イノセントワールド―天下無賊―』など数々のヒット作を手掛ける中国娯楽映画の巨匠フォン・シャオガン監督が、東京国際映画祭の特別招待作品『戦場のレクイエム』の上映に併せて来日し、23日に記者会見を行った。
映画は、中華人民共和国建国前夜に起こった“国共内戦”で、部隊の中でただひとり生き残った男が、戦死した部下の名誉回復のために、残された人生をささげるという実話に基づいた物語。戦場シーンの迫力と臨場感が圧倒的なスケールで描かれ、中国本国では、歴代興行収入第2位の大ヒット。中国のアカデミー賞といわれる金鶏百花映画祭にて、最優秀作品賞、監督賞など主要4部門を制した話題作である。
国共内戦を映画化した理由について、シャオガン監督は「ひとつは原作にひかれたこと。男性なら誰もが一度は戦争映画を作りたいと思っているからね。そしてもうひとつは、私はコメディーを作る監督と思われているので、違う映画も撮れることを証明したかった」と述べた。また、キャストにスターを起用しなかったことについて「資金はすべて製作費に使いました。つまりギャラに回す余裕がなかったから新人を起用したんです」と笑った。スターが出ていない、女性客が敬遠する戦争映画ということで、興行面では失敗するだろうといわれていたが、ふたを開ければ大ヒットの快挙に「私は大衆映画を作る監督。観客から支持された結果であり、とてもうれしい」と、自らの映画作りに相当な手応えを感じたようだ。
原作は、ヤン・ジンジュアンのたった3ページの短編小説「Guan Si(訴訟)」。シャオガン監督は、それを映画として膨らませるために、当時の兵士たちの日記を参考にしたそうで「歴史資料を参考にしては役に立たなかっただろう」とコメント。ここに本作が、解放戦争としての国共内戦を美化することなく、同じ民族同士が戦う悲劇を描いた人間ドラマとして「画期的」と評価された秘密がありそうだ。
シャオガン監督は、質問に対してとても簡潔にテンポよく答える。それがまさに監督の作品のテンポそのもののようで興味深い。「映画というのは、1回見て面白い映画がいい。5回見てやっと分かる映画はダメです」と言い切ったシャオガン監督。言葉の端々に、ヒットメーカーとしての自信がうかがえた会見だった。
『戦場のレクイエム』
2009年新春第2弾、シャンテシネほか全国ロードショー
取材・文・撮影:吹田惠子
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