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第21回東京国際映画祭で黒澤明賞を受賞した『時計じかけのピアノのための未完成の戯曲』『太陽に灼かれて』のニキータ・ミハルコフ監督と、『さらば、わが愛/覇王別姫』『北京ヴァイオリン』のチェン・カイコー監督が25日、都内で開かれた記者会見に出席した。
同賞は、故・黒澤監督の作品と同様に、ヒューマニズムに貫かれ、娯楽性ある作品を製作し続ける監督に贈られる。両監督とも、静かなたたずまいを見せながら喜びをかみしめていた。
ミハルコフ監督は「今までにも賞を頂いたことはあるが、この賞は黒澤さんが生きていたらきっと気に入るだろう作品を作った監督に贈られる賞ということで、どれほど名誉なことか筆舌に尽くしがたい」と涙を浮かべながらコメント。黒澤監督とは親交があり、残っている写真のほとんどがふたりでウイスキーを飲んでいる時のものだという。また、ミハルコフ監督は、黒澤監督が『乱』の撮影準備中に、あるアイデアを提案し、それが実際に採用されていたことも告白。「私の喜びはエゴイスティックなものだけれど、自分にも正しいことがあると思って、今後も映画を撮り続けなければと思うことができた」と映画人としての未来を決定した出来事を回想した。ミハルコフ監督の最新作『12人の怒れる男』では『用心棒』のワンシーンを引用するなど、今もなお黒澤監督へのリスペクトし続けている。
一方、日本でも人気のあるチェン監督は、『羅生門』が公開された年にはまだ生まれておらず、黒澤監督と実際に会う機会もなかったという。しかし「中国の私たち世代に一番大きく影響を与えた監督のひとり」とたたえた。さらにマーティン・スコセッシ監督の家に招待された時には、黒澤監督が贈ったという工芸品を見せてもらい、スコセッシ監督から「素晴らしい人」と黒澤監督について話を聞いたという。「黒澤監督は日本のある時代を象徴しているのではなく、もっと人間性の深いところ、慈悲深い部分がある」と黒澤監督の精神世界をしっかりと受け取っていた。
審査員を務めた黒澤監督の長女・和子さんは「父は最期まで『若い才能を持った映画人が次々と出てきてほしい』と言っていた」と両監督にエールを送るとともに、今後にも期待を寄せた。
取材・文・撮影:筧みゆき
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