タレントweeker

今年2月に亡くなった映画監督・市川崑。数々の名作を世に送り出してきた日本映画界を代表する名匠の未公開作、貴重作が今月、続々とリリースされる。

明日11月8日(土)からは市川監督が1993年に製作した幻の作品『その木戸を通って』が劇場公開される。城勤めの侍・正四郎と、彼の前に突然現れた記憶喪失の女・ふさの物語を描いた逸品だが、本作は日本初の長編ハイビジョンドラマとして製作されるも、長らく鑑賞の機会がなかった作品。1959年にTVドラマ『恋人』の演出を手がけて以降、テレビ界でも活躍してきた市川監督らしく、ハイビジョンの精細な映像と、監督の劇世界が見事にマッチした1作だ。

続いて11月21日(土)には「市川崑×吉永小百合 DVD-BOX｣が発売される。これは、市川監督と女優・吉永小百合がコンビを組んだ『細雪』『おはん』『映画女優』『鶴』の4作品が収められたもの。吉永小百合が転機を迎えた作品として高い評価を受けた『細雪』を始め、彼女の主演100本記念作品として製作された『鶴』など、日本を代表する名女優と名匠監督のコラボを存分に堪能できる。

そして同日にリリースされる「スタイル・オブ・市川崑−アート＋CM＋アニメーション−」DVDは市川監督のレア作品が凝縮された秘宝のような1枚。監督がデビュー前に脚本・作画・撮影・編集をすべてひとりで手がけた短編アニメ『新説カチカチ山』や、1年半の撮影期間を要して古都・京都の四季をスタイリッシュに切り取った短編『京』など、これまでビデオ化はおろか、鑑賞する機会すらほとんどなかった作品を一挙に収録。また30秒の作品のために脚本家・和田夏十と詩人の谷川俊太郎が脚本を書いた「ホワイトライオン」、大原麗子が出演する人気シリーズ｢サントリーレッド、オールド｣などCM作品も多数収録されている。

これらの他にも特集上映や研究書の発刊も予定されており、今後、市川作品を楽しめる機会がますます増えることになりそうだ。

『その木戸を通って』
11月8日(土)より丸の内TOEI2ほか全国順次公開
「市川崑×吉永小百合 DVD-BOX｣ (4枚組)
11月21日(金)発売　16800円(税込)
「スタイル・オブ・市川崑−アート＋CM＋アニメーション−」DVD
11月21日(金)発売　4935円(税込)

• 『その木戸を通って』 作品情報&フォトギャラリー