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毎年、映画ファンから熱い支持を集めている映画祭「東京フィルメックス」がいよいよ明日22日(土)から開幕する。今年も世界中から選りすぐられた39作品が上映されるが、今年の注目作や傾向について、映画祭のプログラム・ディレクターである市山尚三氏に話を聞いた。
今年の上映作品の目玉はブラジル映画だ。そもそものきっかけは、市山氏が4年前にカンヌ映画祭でジョアン・ペドロ・デ・アンドラーデ監督の作品を観たことだと言う。「これまで日本で上映された形跡がなく、おそらく初紹介になると思います。ヌーヴェルヴァーグ的でありながら変幻自在な作風を持つ作家。原色を強調した映像が鮮烈な『マクナイーマ』などはデジタル修復版で上映するので驚かれると思います」。今回の映画祭ではアンドラーデ監督の5作品が紹介されるほか、オープニングを飾る『リーニャ・ヂ・パッシ』や、18人の映画作家がブラジル最大の都市サンパウロを捉えた『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』など、ブラジル作品が多数上映される。
一方で、日本映画も強力な作品が揃った。園子温監督の最新作『愛のむきだし』は上映時間237分の超大作だが「最後まで何が起こるか予想がつかないハイテンションな作品で、まったく飽きない作品。おそらく来年いろいろな映画祭で海外の観客を驚かせることになると思います」と市山氏はその完成度を絶賛する。坂井真紀主演の『ノン子 36歳(家事手伝い)』はコンペティション部門での上映。「何よりも坂井さんの演技が素晴らしいですし、原作ものではないオリジナルの作品が成功して欲しいという想いもあります」。同じくコンペ部門で上映の『PASSION』は東京藝術大学大学院の修了作品だが「海外の作品と較べても遜色のない抜きん出たレベル。濱口竜介さんは可能性のある監督」と絶賛。いずれの作品も「審査員に“日本映画の質が落ちている”と言われたくない」との想いで市山氏がセレクトした作品だけに、観客からも高い評価を受けることになりそうだ。
他にも、アモス・ギタイ、ジャ・ジャンクー、ジョニー・トーら当映画祭の常連作家の新作や、日ごろ上映される機会の少ない貴重作が揃うが、今年の傾向について市山氏は「ドキュメンタリーとフィクションの境界をいく作品が多いのが世界的な傾向です。911やイラク戦争以降、リアルなドキュメンタリー映像が氾濫するなかで、どのように世界と向き合うのか考えている作家が増えている気がします」と語る。世界と真摯に向き合う映画作家たちを紹介・支援し続けてきた「東京フィルメックス」だけに、今年も“現在”を捉えた傑作が見つかることだろう。
「第9回 東京フィルメックス」
11月22日(土)〜30日(日)
有楽町朝日ホール、フィルムセンター大ホール、シネカノン有楽町1丁目にて開催
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