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アジアの新しい才能を発掘する作家主義の映画祭「第9回東京フィルメックス」が22日からスタート。ファンと映画人をつなぐ企画が毎年数多く用意される同映画祭だが、23日にコンペティション部門に選出された『PASSION』のトークイベントが行われた。この映画は黒沢清や北野武が講師を務める東京芸術大学大学院の卒業製作作品。当日は、手がけた濱口竜介監督と、恩師である黒沢清監督が登壇し、作品について語り明かした。
トークイベントは黒沢監督が愛弟子ともいえる濱口監督に、映画スタイルや映画論などについて根掘り葉掘り聞く予想外の展開に。それほど黒沢監督は『PASSION』に大きな衝撃を覚えたという。この作品はちょうど現在公開中の『トウキョウソナタ』の編集が終わったぐらいのころに観たそうで「正直なところ、『学生でここまでやるの』と、僕は非常にショックを受けました。今明かすと、『トウキョウソナタ』のいくつかの部分は、『PASSION』を見た影響で編集を変えた。音楽の使い方も影響されたところがあります」と告白。これには会場に集まった人々も“あの黒沢清監督に影響を与えたのか”と大きくどよめいた。続いて黒沢監督は「僕や北野さんが手引きしているような印象を受けるかもしれませんが、一切関知していない。スタッフの選択もキャスティングも濱口くんが決めて作っている。僕でも北野さんでもないまったく別の個性が誕生したということで間違いないと思います」と断言した。
この日、司会進行を務めた東京フィルメックス・プログラム・ディレクターの市山尚三氏も「毎年、応募作には将来性豊かな才能を感じさせる作品がいくつかある。でも、ほかの海外作品と比べたとき、まだ同じ壇上に並べられるまでいっていないことがほとんど。ただ、『PASSION』に関しては、そのレベルに達していると思った」とこちらも賞賛の声を寄せた。
褒められっぱなしの濱口監督は恐縮することしきり。その中で監督は「『こんなに教わっていいの』と思うぐらい、黒沢監督からはいろいろと学びました。黒沢監督からは映画の持つ原始的な力を教えられたような気がします」と感謝の言葉を述べた。
映画『PASSION』は、さまよえる男女5人の群像劇。“世界のクロサワ”が認める新鋭、濱口竜介監督の手腕と才能に注目したい。
取材・文・撮影:水上賢治
『PASSION』
■第9回東京フィルメックス
11月30日(日)まで有楽町朝日ホールほかにて開催中
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