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各国の監督がさまざまな角度からブラジルの大都市サンパウロを切り取ったドキュメンタリー・オムニバス『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』。11月26日に東京フィルメックスにて上映され、その後、プロデューサーのレオン・カーコフ氏と、ダニエラ・トマス監督、吉田喜重監督、岡田茉莉子氏がトークショーを行った。
サンパウロ映画祭の代表も務めているカーコフ氏は、「サンパウロの街を外国人の視点から観たらどうなるか」という想いから、映画祭を訪れた台湾のツァイ・ミンリャン、イスラエルのアモス・ギダイ、日本の吉田監督ら、各国の監督に声をかけたという。多くの監督がサンパウロの歴史や日常生活の様子をアート的な映像と音楽、歌手カエターノ・ヴェローゾのナレーションで綴る中、吉田監督は日本料理店で働く日系三世の女性をインタビューし、サンパウロを記録した。「帰国間際で時間もなく最初はお断りしたが、インタビューする女性はあらかじめ決めてくださっていたので受けた。その前にその料理店でカーコフ氏にごちそうになったのはお膳立てだったようだ」と当時を笑い話で振り返った。作品では「これが最初で最後のインタビュー」と語る妻でもある女優、岡田氏の問いかけに、女性は流暢な日本語で移住してきたおじいさんの苦労や時代と生活の変化を語っていく。最後に「今は幸せです」と笑う女性の笑顔が印象的だ。
一方、セットデザイナーでもあり「都市の建築に興味がある」というトマス監督が、車の中から撮影した作品は、道路で自由に過ごすさまざまな人種の人々が捉えられブラジルが多民族国家であることを感じさせる。「あそこは休日になると遊歩道になる道路。人間の生きようとする精神が、いかに都会を征服するかを捉えたかった」と語っていた。
吉田監督の作品は、回顧上映されるほどブラジルでも人気が高いが、実は、監督デビュー作『ろくでなし』(1960)は、その1年後にはサンパウロの日本人街にある松竹の映画館で上映されていたという。その30年後に、現地の監督たちから「吉田監督の作品を観て多くの衝撃を受け、影響されていた」と聞かされたという吉田監督は、「映画は不思議な力を持っている、素晴らしいメディアだなと思った」と、貴重な体験を語った。
『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』
■東京フィルメックス11月30日(日)まで有楽町朝日ホールほかにて開催中
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