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体感しないのは間違いなく損!な237分【東京フィルメックス】
2008年11月28日 19時44分 [映画祭]
『愛のむきだし』場面写真

『自殺サークル』や『Strange Circus 奇妙なサーカス』などアブノーマルな作品のイメージが強い、園子温監督。それゆえ奇才と称されることの多い同監督だが、『気球クラブ、その後』のようなど真ん中の失恋映画でも、実はいかんなく手腕を発揮している。

237分というとんでもない長尺になった今回の新作は、ある意味、彼の危うい異能とストレートな正統派の視点が見事に合致した1作といっていいかもしれない。劇中の主要人物となるのは、父親から愛情を得たいがために気づけば、女性の股間ばかりを激写する盗撮界のカリスマになっていたユウと、女にだらしない父親を持ったがゆえに男性を敵とみなすようになり、いつしか運命的な出会いを果たした女性のサソリに好意を抱くようになったヨーコ。そのほかにも父親の性器を阿部定ばりに切り落とし、鑑別所を経てカルト教団の幹部に成り上がったコイケや、ある意味、本能的な愛に忠実で見境なく男をとっかえひっかえするサオリなど、ひとクセどころかもはや危険人物でどこか破綻した奇人たちばかりが登場する。ここからは変質的な暴走ストーリーを想像するに違いない。ところがこれが信じられないかもしれないが、あれよあれよという間にユウとヨーコの正真正銘の純愛ストーリーへと変貌していく。

これほど映画の始まりと終わりで大変化を遂げる映画はそうそうお目にかかれない。この物語を破綻なく成立させた園監督のストーリーテリングは“あっぱれ”のひと言だ。ただ、今回の園監督はこの物語作りもさることながら、演出面も新境地を見せる。活劇という言葉が似合う痛快なアクションがあったり、往年のメロドラマを彷彿とさせるカットがあったり。ありとあらゆる手法を1作の中でやりきっている。単なる無謀か? はたまた劇場に対する挑戦状か? あまりの長時間に尻込みしてしまう人の気持ちもわからないではない。でも、この237分を体感しないのは間違いなく損!

文:水上賢治

特別招待作品『愛の」むきだし』
■東京フィルメックス

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