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気鋭、熊切和嘉監督が新境地に挑む【東京フィルメックス】
2008年11月28日 20時00分 [映画祭]
『ノン子36歳(家事手伝い)』場面写真

1997年にデビューを果たし、気づけば10年選手に突入していた熊切和嘉監督。ここ数年、SF未来アクションやコミックの映画化など、それまでとタイプの違う題目に果敢に挑んできた彼だが、今度は久々にオリジナル・ストーリーで自身にとって初となる女性映画にチャレンジしている。

タイトルにもう明示されているが、主人公は36歳のノブ子(通称ノン子)。ただ、この人物、家事手伝いとはいうけれど、バツイチ出戻りで、つつましく暮らしているかというとそうではなく、かなりふてぶてしい。現状に何ひとつ満足しておらず苛立つ毎日だが、かといって一歩踏み出すには先立つものがない。そんな彼女の前に、あまりに不器用すぎて見ていられない年下男が出現する。ここから映画は少しずつ動き出すのだが、熊切監督はにわかにざわめきはじめた30代女性の心模様をその鋭い観察眼にオフビートなユーモアをまじえながら描き出す。

楽しい神社のお祭りが一気に惨劇に近い形で崩壊してしまう、後半に用意されたダイナミックなアクションや、リアルで艶めかしいセックスシーンなど、軽快さと重厚さを使い分けた描写力も目を見張るものがあるが、今回、特筆すべきは女優・坂井真紀と一種の共犯関係を結んだような濃密なセッション。坂井の持つモチベーションと魅力を最大限に引き出したことで、実に魅力的なヒロイン像と、生き生きとした女性映画を作ることに成功している。また、その監督の期待に応えた坂井真紀が魅力的。『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の彼女もすごかったが、ここでも負けず劣らずいい。熊切演出と、彼女の存在があったからこそこのヒロインは成立したといってもいいかもしれない。

1997年に発表した処女作『鬼畜大宴会』が国内外で大絶賛され、センセーショナルなデビューを飾った熊切和嘉監督。それから10年を越す月日が流れ、彼が新たなステージへと踏み出したことを高らかに告げる1作となっていた。

作品評価:★★★★ 水上賢治

『ノン子36歳 (家事手伝い)』
12月20日(土)銀座シネパトス、渋谷シネ・アミューズにて公開

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