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11月15日(土)から11月30日(日)まで、フランスの映画雑誌カイエ・デュ・シネマの協力によってプログラムが選定される「カイエ・デュ・シネマ週間」が東京日仏学院にて開催。今年はゲストに『仕立て屋の恋』(89)で知られる人気女優サンドリーヌ・ボネールを迎え、彼女の特集も組まれた。
25日には、来年2月公開のボネールの監督デビュー作『彼女の名はサビーヌ』が先行上映された。これは彼女の自閉症の妹についてのドキュメンタリーである。上映後にはボネールと映画監督の諏訪敦彦氏、カイエ誌の編集委員アントワーヌ・ティリオン氏との鼎談があり、ボネールが「感情もなくなり、喜怒哀楽を表現できなかった妹が、出来上がった作品で若かりし頃の美しかった自分を見て涙を流していた」という秘話を披露し、会場を感動の渦に。
また8本の日本未公開の新作フランス映画も上映。どれも個性的でフランス映画の多様性を感じさせた。まずアルノー・デプレシャンは『愛された人』でドキュメンタリーに初挑戦し、それを最新作『クリスマス・ストーリー』に繋げており、女優ヴァレリア=ブルーニ・テデスキは監督2作目『女優』で爆裂したエネルギーの傑作を、若手監督は『戦争について』で独創的で野心的な世界観を、そして元カイエ誌の批評家は『殺し屋』(2008)でこだわりのノワールを見せた。そのほか俳優ジャック・ノロの監督作や、ジャン=マリー・ストローブの新作2本も。また8本中3本に007の最新作で悪役に抜擢されたマチュー・アマルリックの出演作が入っていたことも印象的だった。
アントワーヌ・ティリオン氏は「アマルリックは今フランス映画界で最も必要とされている俳優ですね。今回『戦争について』で共演していたギヨーム・デュパルデューも同じで、今年は出演作が4本もあったのですが、亡くなってしまいました。今年の映画界で最も大きな出来事の一つです」と語る。また現在のフランス映画の状況について「社会の格差と同じように、現在のフランス映画もまた大作とマイナーな低予算映画に二極化しています。でもフランス映画らしい魅力を出せるのはその間の作品のはず、と中規模作品を救済する運動を映画人たちが昨年おこしました」と語った。
その素晴らしさを証明するためにも、今回上映された作品が1本でも多く日本で一般公開されることを期待したい。
取材・文:木村満里子
■カイエ・デュ・シネマ週間
『彼女の名はサビーヌ』
2009年2月、渋谷アップリンクほか全国順次公開
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