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長野博、トリッキーなドタバタコメディで大奮闘
2008年12月01日 19時21分 [演劇]
舞台『フライパンと拳銃』開幕
舞台『フライパンと拳銃』開幕

11月28日、長野博主演の舞台『フライパンと拳銃』が開幕した。長野自身が作・演出のG2に「コメディで」「二面性のある役を」とリクエストし出来上がった物語は、葬儀場を舞台に、お通夜が始まるまでの2時間をリアルタイムに描いたノンストップ・コメディ。そこらじゅうに罠が張り巡らされた、トリッキーでスピーディな舞台だ。

人気レストランのオーナーシェフ・則彰(長野)は実は裏稼業のボス。愛する妻・志津香(富田靖子)にはそのことは秘密にしているが、父の光雄(斉藤暁)が失踪したまま戻らず、妻に裏の顔がバレそうになる。対応をまかせた則彰の部下・滝本(三上市朗)は、光雄が死んだことにしようとニセの葬儀をでっちあげてしまい……。

則彰は滝本や葬儀屋の繁田(風間俊介)と協力し、誰かが遺体の顔を拝もうとしては誤魔化そうとするが、その場しのぎの対応が裏目に出てさらにドタバタに。冒頭は、主人公が嘘に嘘を重ねダンゴ状態、紙一重で危機をしのいでいくコメディの王道の展開だ。だが、こんなことは前菜にすぎない。妻とその母(野川由美子)は意味深な会話を交わし、焼香に来たコワモテの男(高杉亘)とも妻はワケありげ、アシスタント・シェフ直海(黒川芽以)は則彰に迫り、さらに刑事(植本潤)まで乱入。登場人物には幾重にも秘密が張り巡らされ、こっちの秘密とあっちの秘密がアクロバティックに結びつく。さらに則彰にも裏の顔だけでなく、表の顔・シェフの側にも秘密が用意されている。サービス精神旺盛にも程がある仕掛けの山に、物語は瞬間ごとに様相を変えていく。G2、渾身の力作だ。

さらにこの迷宮のような物語を担うキャスト、全員が己の最善の立ち位置からはみ出ず、そのバランスが絶妙だ。三上、植本のG2常連組はキッチリ笑いは攫りつつ出すぎず引きすぎず、さすがの力量。野川、斉藤のベテラン勢は笑いの中に温もりを注入。また風間のいたずらっ子めいた笑顔が、物語終盤に訪れる最大の仕掛けをいっそう味わい深いものにしている。

そして長野は凄みをきかせたかと思えば作り笑いで場をしのぎ、表と裏の顔を見事に表現。だがそれだけではなく、妻への思いや秘密を抱える葛藤まで、リアルタイムで進む2時間の物語の中にきっちりと描き出した。またその思いを受ける富田も、芯の強さと情の深さで志津香像に厚みを持たせる。秘密が明らかになっていく過程でこの夫婦関係も刻々と変わり危機もやってくるが、長野と富田の人の良さそうな笑顔の底に見えるお互いを思う気持ちが物語の清涼剤。そこらじゅうから意外な秘密が飛び出し、5分に1回は予想を裏切られていくようなこの物語、ラストシーンに待っていたのは大どんでん返し、ではなく、なんともしみじみとした夫婦の絆。それこそが、G2が仕掛けた最大の罠なのかもしれない。

公演は東京グローブ座にて、12月15日(月)まで。なお12月19日(金)から21日(日)には大阪・サンケイホールブリーゼでも上演される。

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