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幸四郎、福助、染五郎が揃って成功祈願。今年を締めくくる歌舞伎座十二月公演
2008年12月02日 18時44分 [歌舞伎・古典芸能]
歌舞伎座十二月公演
歌舞伎座十二月公演 成功祈願祭

今年も様々な話題作を提供した歌舞伎座。その締めくくりとなる十二月大歌舞伎『佐倉義民伝』(昼公演)は、主人公の佐倉宗吾こと木内宗吾が領主・堀田家の暴政を目の当たりにし、下総国佐倉領の民を代表して時の将軍、徳川家綱に直訴した伝承に基づく物語。嘉永4年(1851年)の初演時には104日間も公演を打ち続ける大ヒットを記録し、その後も読み物や講談によって現在まで広く人々に親しまれている人気作だ。その6年ぶりの上演に際し、12月1日、木内宗吾を演じる松本幸四郎と妻おさん役の中村福助、そして徳川家綱を初役で演じる市川染五郎が出席しての成功祈願祭が、通し稽古に続いて行われた。
通し稽古は、雪が降り積もる印旛沼のほとりで、追われる宗吾を命をかけて家へ送り返そうとする渡し守甚兵衛が見どころの「印旛沼渡し小屋の場」、いったん家に戻るものの断腸の思いで妻子と別れ、江戸へと向かう宗吾の姿を描いた「木内宗吾内の場」「同裏手の場」、さらに紅葉が照り映える中、宗吾が家綱に直訴する「東叡山直訴の場」と続いた。
中でも印象的なのは、宗吾がおさんや子どもたちへの想いと、圧政に苦しむ農民の代表として立つ我が身との狭間で苦しむ場面。賢く優しい福助のおさんと、温かい人柄をにじませる幸四郎の宗吾という夫婦の細やかなやりとりは、その後の展開を思わせて涙を誘う。宗吾を行かせまいとすがる子どもたちの場面も切なく、今も昔も変わらない人々の心情をしみじみと思い起こさせると共に、この作品が長く愛されている理由を実感する場面となった。
続いて2階ロビーに場を移しての成功祈願祭では、現在まで宗吾を祀る千葉県成田市の宗吾霊堂から僧侶を迎え、「出開帳」が執り行われた。これまでその様子は非公開となっていたが、来年1月から連続上演される「歌舞伎座さよなら公演」を前に、今回は特別に取材が許されたもの。
法要後の囲み会見では、24年ぶりに宗吾を演じる幸四郎が「宗吾という、人々のために働いた人間がかつて実際にいたことを考えると、私は胸が一杯になるんです。最近暗いニュースがあふれていますけれども、12月の歌舞伎座に来ていただいて、いっときでも温かい気持ちになっていただければ」と語ると、福助も「幸四郎さんの宗吾はパワーがすごい。通し稽古でも妻の私を引っ張っていただきました」と幸四郎の宗吾ならではの魅力を。
また徳川家綱役に挑む染五郎が「格でいえば、これ以上ないくらい高い品格が必要な役。難しい役ですが頑張りたい」と気を引き締めると、隣で幸四郎も「祖父、父、私と3代にわたって宗吾をやらせていただいて、今回は染五郎も出演して4代が関わることになりました。人が変わってもずっと伝えていきたい作品です」と本作に込めた想いを語った。
歌舞伎座十二月大歌舞伎は12月2日(火)から26日(金)まで、東京・銀座の歌舞伎座にて。昼の部は、上記、東山桜荘子「佐倉義民伝」の他に、新歌舞伎十八番の内「高時」、「京鹿子娘道成寺」鐘供養の場を、夜の部は、「名鷹誉石切」鶴ヶ岡八幡社頭の場、「高坏」、「籠釣瓶花街酔醒」を上演する。
取材・文:佐藤さくら

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