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藤木直人が初舞台。忠臣蔵を大胆な視点で描いた怪作で生瀬勝久と競演
2008年12月08日 16時41分 [演劇]
「冬の絵空」開幕
撮影:谷古宇正彦

藤木直人の初主演舞台「冬の絵空」が、12月6日(土)に大阪の新劇場、サンケイホールブリーゼのこけら落とし公演として開幕した。メインキャストのひとりである生瀬勝久が4代目座長を務めた劇団そとばこまちにて1987年に初演されたこの作品は、忠臣蔵を本家とは異なる大胆な視点で描いた怪作。初舞台となる藤木は、ニセの大石内蔵助に扮して民衆を熱狂させてしまう人気歌舞伎役者・沢村宗十郎を怪しく艶やかに演じ、観客を魅了した。

時は元禄。羽振りのいい大阪商人・天野屋利兵衛(生瀬勝久)は、当世流行りの心中モノよりさらにセンセーショナルな見世物を目論んでいた。そんな時、出入りしている赤穂藩の藩主・浅野内匠頭が江戸城内で吉良上野介を切りつけ、おとがめとして切腹する大事件が起こる。そこで利兵衛は、元家老の大石内蔵助(橋本じゅん)たちに、吉良邸に討ち入りして仇討ちを果たすよう持ちかけたが、大石は動かない。ならば、と人気役者・沢村宗十郎(藤木直人)に、娘のおかる(中越典子)との結婚を許すという条件で、大石に扮して義賊として活躍させ、民衆の仇討ちへの期待を高めていく……。

テンポよくエキサイティングな展開もさることながら、何より個性的な登場人物たちの造形が魅力的だ。商人として成功しながらもその階級に対しての苛立ちを抱え、人の運命を操る快楽に溺れる天野屋利兵衛。天才役者の仮面の下の“本当の自分”を捉えようともがく沢村宗十郎。義士の道をまっとうしようとも現実に翻弄される大石内蔵助。宗十郎と恋仲にありながら、ニセの大石に心を奪われてしまうおかる。それぞれが、虚々実々の駆け引きが繰り広げられる物語の中で必死に生きているからこそ、絵空事には思えない。そして、いよいよ浪士たちが討ち入りを決意するシーンでは胸が熱く高ぶり、切れ味鮮やかな大立ち回りには興奮させられてしまう。痛快なグルーブに巻き込まれる楽しさと、“生の実感”を求めて惑う人々の哀しさに心乱される。そんな稀有な舞台を、ぜひ味わってみてほしい。

「冬の絵空」は12月16日(火)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。その後、12月19日(金)から21(日)まで愛知県勤労会館、12月23日(火・祝) 広島・アステールプラザ大ホール、12月25日(木)に福岡サンパレス ホテル&ホール、2009年1月12日(月・祝)から2月1日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。

取材・文:永田理子

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