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第59回を迎えたベルリン映画祭が2月5日に開幕した。今年の傾向はベテランと新人の対決といった赴き。スティーブン・フリアーズ、アンジェイ・ワイダ、コスタ・ガブラス、チェン・カイコーらベテラン勢が並ぶ一方、長編初監督作も三本コンペにエントリーしている。
オープニングはドイツ出身のトム・ティクウヴァ監督がクライブ・オーウェンとナオミ・ワッツを起用した『ザ・バンク-堕ちた巨像-』。巨大銀行の闇取り引きをインターポール捜査官が追うサスペンス・アクションで、金融危機のタイムリーな内容が注目された。前半の評価をさらったのは、すでに数々の賞レースを制覇しているケイト・ウィンスレット主演の『愛を読むひと』。戦時中の罪を問われ投獄されたドイツ人女性と21歳年下の青年との波乱に富んだラブストーリーを、『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリーが描く。ケリー・フォックス主演でボスニアの戦犯の裁判を描いた『ストーム』は、女優賞の有力候補。一方、話題作ながら評価が低かったのが、ミシェル・ウィリアムズとガエル・ガルシア・ベルナル主演の『マンモス』、ジュード・ロウの女装だけが目を引くサリー・ポッター監督の実験的作品『レイジ』、フランソワ・オゾンの『リッキー』。寓話とリアリティを融合させた『リッキー』はオゾンらしい野心作だが、エモーショナルにはなりきれていない。
日本映画はコンペティション部門に1作も入らず、パノラマ部門に橋口良輔監督の『ぐるりのこと』1本、その他の部門に計6本と寂しい結果になった。ただし、新しい映像作家を紹介するフォーラム部門のオープニングを飾った園子温監督の『愛のむきだし』は、237分という長尺ながら観客から大きな支持を受け、また同部門の想田和弘監督の『精神』も観客との熱心なQ&Aが盛り上がるなど注目を浴びた。日本人キャストの中から香川照之がベルリン入りした、独・仏・中国合作、日本軍の南京占領時代におけるドイツ人の英雄を描いた『ジョン・ラーベ』も高い評価を得た。
今年の審査員は団長のティルダ・スウィントンをはじめ、イザベル・コイシェ、ウェイン・ワンら計7人。アートフィルム派が目立つだけに、どんな作品に軍配が上がるのか楽しみだ。
第59回ベルリン映画祭 開催中
取材・文:桜田綾子
写真:若山和子
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