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今年のベルリン映画祭に招待された日本映画は計7本。パノラマ部門に橋口亮輔監督の『ぐるりのこと』、若手作家によるエクスペリメンタルな作品を紹介するフォーラム部門には園子温監督の『愛のむきだし』(オープニング作品)、想田和弘監督のドキュメンタリー『精神』、舩橋淳監督の『谷中暮色』、市井昌秀監督の『無防備』の4本。また、今年で4回目を迎えた、さらに実験的な作品をフィーチャーするフォーラム・エクスパンディッドに西川智也監督の短編『16-18-4』と、ティーンや若い観客層を想定したジェネレーション部門に石井克人監督らのオムニバス映画『そらそい』が参加した。
このうち、独創的な内容が観客を大いに沸かせた『愛のむきだし』は、カリガリ賞とフォーラム部門国際批評家連盟賞をダブル受賞し話題になった。『ぐるりのこと』は、日本社会に根ざした若い夫婦の関係を描きながらも好評価を獲得。第1回目の舞台では、ベルリンに来られなかった橋口監督に変わり、主演のリリー・フランキーが壇上であいさつをした。
ドキュメンタリーとフィクションを合わせたユニークなスタイルの『谷中暮色』は、日本の伝統文化への関心も手伝って、上映後の監督とのQ&Aでも熱心な質問が飛び交った。同じく『精神』も、実際にうつ病などの問題を抱える患者を追った深刻な内容と、彼らに対する日本社会の対応への関心から、上映後のトークがヒートアップ。想田監督は「自分もさまざまなことを自問しながら作ったが、タブーをそのままにしていたら何も変わらない、という信念で作った」と監督は語った。
流産を経験したヒロインを描き、釜山国際映画祭でグランプリを取った『無防備』は、セリフの少ないミニマルなスタイルながら、繊細な描写がドイツ人観客にも共感を呼んでいたのが印象的。実際の妻の出産シーンのフッテージを使ったという市井監督が、「撮っているときは夫というより監督の気持ちだった」と言うと会場には笑いが。市井監督は「死を見つめるとともに命の誕生も描きたかった」とコメントした。
今年の日本勢は若手監督が並んだが、全体的に注目度は高く、比較的若い観客層が関心を寄せているのがうかがえた。観客にも世代交代の波が訪れているのかもしれない。
取材・文:桜田綾子
写真:若山和子
第59回ベルリン国際映画祭
2月5日〜2月14日
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