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演劇集団キャラメルボックスによる『シラノ・ド・ベルジュラック』が、9月29日、東京・俳優座劇場にて開幕した。演出の成井豊が、エドモン・ロスタンの不朽の名作に挑む話題作。2008年の『僕の大好きなペリクリーズ』(原作はシェイクスピアの『ペリクリーズ』)に続き、“成井豊の世界名作劇場”として上演される。
1640年のパリ。詩人にしてガスコン青年隊の剣士でもあるシラノ・ド・ベルジュラックは、従妹のロクサーヌに恋心を抱いている。しかし自分の巨大な鼻にコンプレックスがあり、なかなかその想いを伝えることが出来ない。そんな中、ロクサーヌから意外な告白をされたシラノ。それはガスコン青年隊に新たに配属された、クリスチャンとの仲を取り持って欲しいということ。またクリスチャンからもロクサーヌにひと目惚れしたという相談をされたシラノは、自らの恋心を重ね、恋文の代筆を引き受けるのだが……。
ラフな雰囲気の中、今どきな服装に身を包み登場したキャストたち。舞台の幕開けから、かの名作の世界観とは一線を画する。どうやら彼ら、彼女らは、これから『シラノ』を演じる役者という役柄らしい。ひとりずつ台本が渡されていくが、シラノ演じる阿部丈二に渡されたのは巨大な鼻。そう、この作品を象徴する、あの巨大な鼻。ここで観客は、一気に『シラノ』の世界へと旅立つこととなるのである。
意外な幕開け同様、キャラメルボックスが描く『シラノ』はやはりひと味違う。古典ならではのセリフの美しさはあるが、それが決して堅苦しくはならない。適度に盛り込まれた笑いと、柔軟な役者たちの演技。それらが物語自体のもつ面白さを際立たせ、古典は苦手という観客にも非常に入りやすい構造となっている。それは3時間超えが当たり前という本作が、約2時間という上演時間でまとめられている点にもよく表れているだろう。
だからといって、作品が単に軽くなっているわけではない。熱い人間ドラマは、もちろんキャラメルボックスが得意とするところ。前半はそれが笑いに、後半は悲しみに作用し、観劇後には大きな充実感が残るのだ。
ロクサーヌを演じたのは、元日本テレビアナウンサーの阿部哲子。セリフを伝える声の強さや艶はもちろん、その美貌で作品に華を与える。またシラノ役の阿部丈二、クリスチャン役の多田直人の好演も光った。
東京公演は10月10日(日)まで。10月14日(木)から17日(日)まで、兵庫・新神戸オリエンタル劇場でも上演。
取材・文:野上瑠美子
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