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姿月あさと、湖月わたるというふたりの元宝塚トップスターを主役に据えたミュージカル『Diana』が、10月8日(金)の初日に先立ち7日、舞台稽古を公開した。
野田秀樹の『贋作・罪と罰』をミュージカル化した『天翔ける風に』や、ベトナム戦争に材をとった『タン・ビエットの唄』など、多くのオリジナル・ミュージカルを生み出している謝珠栄の最新作。宝塚歌劇団や東宝ミュージカルでも演出・振付を手掛ける彼女はダイナミックな作風を得意とする印象があるが、今回は出演者5名という少数精鋭で、小劇場での上演だ。
物語はアメリカ北西部の小さな町。ある女性が付きまとってきた男に怪我を負わせた。正当防衛と目される事件だったが、その女性・ルーナが口走ったある一言から過剰防衛を疑われ、彼女は留置所へ。そこでルーナはエレンと名乗る女性に出会う。次第に意気投合するふたりだが、身の上話をするうちに、ルーナの封印された記憶が蘇って……。
湖月は孤独を抱えたルーナの心の旅路を丁寧に紡ぐ。おおらかな華やかさが魅力の彼女だが、今作では揺れ動く心情を繊細に描き出し、女優としての懐の広さを見せつけた。一方姿月は人懐っこい笑みと浮遊感のある演技で謎の女性・エレンを創出、さらに後半では慈愛に満ちた存在感で劇空間を圧倒。ふたりのオーラが物語をぐいぐい牽引した。男優陣、今拓哉、平澤智、水谷あつしの3人はそれぞれ傷害事件の被害者、ルーナの父親、看守という彼女らに絡むキーマンを演じながら、コーラスや場面転換もこなし、舞台装置のほとんどないシンプルな舞台に生命を吹き込む役割を担う。5人全員がほぼ出ずっぱりで歌い踊る作品ながら、クールでスタイリッシュな雰囲気が漂うのは、芸達者なキャストが揃ったせいだろう。
事件の真相、エレンの正体など、謎が絡まるミステリアスな物語の果てに、謝珠栄が浮かび上がらせたテーマは、自己肯定と生命讃歌。戦争や移民問題など社会問題を扱うことの多い謝だが、今回はひとりの女性の内面世界から、実にシンプルで力強いテーマを訴えかる。小劇場という空間で俳優陣が魅せる熱演で、そのテーマがダイレクトに客席に届く作品だ。
公演は10月8日(金)から31日(日)まで東京芸術劇場 小ホール1、11月2日(火)に富山・オーバード・ホール、11月5日(金)から7日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて。チケットはいずれも発売中。なお、東京公演は公演日前日まで当日引換券を発売中。
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