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演劇集団キャラメルボックスのクリスマスツアー『サンタクロースが歌ってくれた』が、大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!で10月30日、初日の幕を開けた。創立25周年の最後を飾るにふさわしく、同劇団をすでに退団している上川隆也、近江谷太朗も参加するというプレミアムな公演。ふたりが冒頭で舞台に登場すると、客席から「ワッ」と歓声が上がるほどで、この日を待ち望んだ観客たちの高揚が伝わってくる。劇団にとってもまさに伝説となる記念公演が始まった。
クリスマスイブの東京。渋谷の映画館で上映中の『ハイカラ探偵物語』から、芥川龍之介(西川浩幸)と平井太郎(後の江戸川乱歩/上川隆也)、菊池警部(近江谷太朗)が銀幕を突き抜け、現代の東京へ飛び出してくる。目的は映画の外へ逃げたらしい怪盗黒蜥蜴を追うため。3人は映画を観ていた「ゆきみ」(温井摩耶)に現代の東京を案内してもらいながら、謎を追ってゆく。
本作の初演は1989年。入団間もない同期の上川と近江谷が平井太郎・菊池警部役にそれぞれ抜擢され熱演。1992年の再演、1997年の再々演、そして13年ぶり4度目となる今回も、西川・上川・近江谷は同役を演じるという“ミラクル”を成し遂げた。
スーツ姿で巧みに推理しながらもどこか愛嬌のある芥川、探偵小説の作家を目指す溌剌とした平井太郎、直情型で常に観客の笑いを誘う菊池警部。3人のバランスは絶妙で、近江谷のオトボケにつっこむ上川の名コンビぶりも観ていて痛快だ。走る、踊る! と大活躍のキャストたちからは、作・演出の成井豊が「約70本の自作の中で一番出来がいい」と公言する本作への、並々ならぬ意気込みが感じられた。
舞台上には大きな時計が掲げられ、リアルタイムで時を刻む。観客は針を見つめながら、映画の上映時間内に解決しなければいけない事件の行方をハラハラと見守ることに。黒蜥蜴は誰なのか、なぜ逃げたのか、というミステリーの面白さはもちろん、物語を引っ張ってゆくのは“人の気持ち”。誰もが抱くような嫉妬やコンプレックスまで丁寧にすくいあげ、鮮やかに昇華してゆく。観劇後はクリスマスにぴったりのあたたかな余韻が。4度目にして一新された豪華なアーティスト陣による音楽もドラマティックで聴き応えあり。
大阪公演は11月7日(日)まで。11月13日(土)・14日(日)に福岡・北九州芸術劇場 大ホール、11月30日(火)から12月25日(土)まで東京・サンシャイン劇場にて。なお、11月18日(木)から28日(日)までサンシャイン劇場にて、若手メンバーを中心にした「アナザーキャスト 10days Limited Version」も上演。
取材・文:小野寺亜紀
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