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漫画家・水木しげる氏の妻・布枝さんの著作を映画化した『ゲゲゲの女房』が20日(土)から全国公開される。NHK朝の連続ドラマが好評のうちに放送を終了した後での公開となったが、実は本作が企画されたのはドラマよりも先だったという。製作陣はなぜ、布枝さんのエッセイを映画化しようとしたのか? 本作の企画・プロデュースを手がけた越川道夫氏に話を聞いた。
『ゲゲゲの女房』は、昭和30年代の日本を舞台に、お見合いからわずか5日で結婚した漫画家しげる(宮藤官九郎)と布枝(吹石一恵)が、貧乏暮らしの中で夫婦のきずなを生み出していく姿を描いた人間ドラマ。
越川氏が本作の原作となったエッセイに出会ったのは本書が発売されてすぐだったという。「本屋で平積みになっているのを見つけたんです。その前からずっと、20〜30代の若い女性だけじゃなくて僕の母ぐらいの世代も喜んでくれる映画を作りたい、アヴァンギャルドで、変なことやってるんだけども、誰でも楽しめる映画に挑戦してみたかった。その時にちょうどこの本と出会ったんです」。しかし、発売当初から話題を呼び、好調なセールスを記録していた書籍だけに“映画化権”の取得は困難だったのではないだろうか?「映画化の話は他からいっぱい来てるんだろうなぁと思ってあきらめようとしてたんですよ。でも、なぜか映画化をオファーしたのは僕たちが最初だったんです」。
その後、映画化が決定し、脚本作りが始まるも作業は予想以上の時間を要した。「いろいろと試行錯誤がありましたが、一番大きかったのはこの映画は“経済的な成功”を描くだけでは終われない、ということでした。とは言え、貧乏暮らしをしているふたりの物語を終わらせるとしたら“経済的な成功”でしかない。そこが一番のキモでした。あのふたりは、どこで“夫婦”として共に歩き始めたんだろうか。それこそが大事で、経済的な成功は“おみやげ”みたいなものでしかないと思ったんです」。
ちなみに鈴木卓爾監督は、以前行ったインタビューでその問いに「目に見えない“妖怪”と、世の中を大きく動かしている“お金”が目に見えない駆け引きを繰り広げていて、最後にはこれまた目に見えない“心”があの夫婦を動かしていく」とコメントしたが、越川氏も「水木しげるという人は、目に見えない“妖怪”を漫画で描くことで体系化してくれた人だと思うんです。でも同時に布枝さんは漫画家ではないけれど、田舎で育って“妖怪”と共に暮らしていたと思います。だから映画を通して、同郷であるふたりが“同じ基盤”を持っていて、ふたりで一緒に“あるもの”を見た……そこを映画の大団円にしたかった」と振り返る。
水木夫妻の過去でも、貧乏夫婦の成功譚でもなく、世界でひと組しかいない“水木しげると水木布枝が夫婦になった瞬間”を描いた映画『ゲゲゲの女房』。そのラストで一体、何が描かれているのか? 映画は人気を博したTVドラマとは趣の異なる作品に仕上がっているようだ。
『ゲゲゲの女房』
11月20日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
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