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尾上菊之助、尾上松緑ら若手歌舞伎俳優が奮闘する日生劇場十二月大歌舞伎が、12月2日(木)から25日(土)まで行われる。『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』『達陀(だったん)』を上演する今回、『摂州〜』で女方の大役、玉手御前に初めて通して挑む菊之助に話を聞いた。
この玉手御前は、母性と愛から義理の息子である俊徳丸に道ならぬ恋をし、彼に毒を飲ませてしまう役で祖父の尾上梅幸、父・尾上菊五郎も当たり役としてきた。今年5月の團菊祭でこの玉手御前には大詰の「合邦庵室の場」で既にチャレンジしていることを踏まえ、「2度目だからこそ緊張しますね」と率直に語る菊之助。「今度は、通し狂言ですので『合邦庵室の場』だけを演じる時とはまた違った緊張感が生まれてきます。そしてこれまで玉手御前を演じてきた父に、合邦(玉手御前の父)の役で出ていただけるのも、身が引き締まる思いです。今は、教えていただいたことを5月より、より深めていかなければいけないというプレッシャーと向き合っています」と話す。
俊徳丸への一途な思いだけでははかれない複雑な女心をどう演じるかに注目が集まるが、通しの台本を読んだ感想を菊之助はこう話す。「(物語は)玉手と合邦の視点で書かれていますが、見ていただいたお客様が玉手は邪恋だったのか? それともお家騒動を鎮めるために俊徳丸に毒を呑ませたのか? と、色々な角度で見ることができるのが通し狂言の魅力だと思います。場面場面で、多面的に演じられるよう務めたい」。
また、5月公演では型の習得に大変苦労したと言うが、今回自分に課せられていることは、型の継承、積み重ねだけではないと語る。「玉手は『十九や廿(つづやはたち)の年配』。身体的には若く、精神的には熟した女。今の等身大でぶつかるしかないと思います。大義や忠義の人だった玉手は、自分の(俊徳丸を恋する)心には抗えない。血を呑ませて治すというのは(俊徳丸の許嫁である)浅香姫に対する対抗心だった気もします。あなたはそこまで俊徳丸に近づくことはできないでしょ、という。大胆すぎるかもしれませんが、それぐらいの思いがないと玉手に向き合えない気がしています。今の自分にできることというのは、それほどの激しい感情を持って向き合うこと。そうしないと、この役に負けてしまう気がしています」。
5月公演の際に、坂東玉三郎からは玉手を演じるにあたり、「最初は型をひとつずつ丁寧に、性根をつかむことを優先的に考えなさい」と教えられたそうで、12月は美しくも激しい情念に満ちた菊之助の新しい玉手御前が見られそうだ。
最後に、『摂州合邦辻』『達陀』の2作の見どころを「2作とも色々な愛の形ですよね。『摂州〜』の玉手は難しい愛の形ですけれど。親子愛、夫婦愛と、いろんな愛の形が見えてくるのではないでしょうか。12月にこの作品を観ていただけることで心の彩りにして頂けたらと思います。お忙しいとは存じますが、劇場にお運びくだされば嬉しく思います」とアピール。
公演のチケットは発売中。チケットぴあでは<歌舞伎アフタートークショー付>チケットも発売中。
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