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人間はサルから進化していない!? 『エクスペリメント』監督が鳴らす“警鐘”とは
2010年12月02日 10時35分 [洋画]
『エクスペリメント』を手がけたポール・シェアリング監督(写真右)

12月4日(土)に日本公開される『エクスペリメント』は、実際の人体心理実験に発想を得たバイオレンス・ドラマ。この心理実験とは、1971年にアメリカのスタンフォード大学で行なわれ、複数の被験者を囚人役と看守役に分けて、その動向を観察するというものだが、危険性ゆえにスケジュール半ばで中止になった。ドイツ映画『es[エス]』でも描かれたこの題材を、今なぜ取り上げたのか? 人気TVシリーズ『プリズン・ブレイク』の生みの親としても知られる監督のポール・シェアリングに話を聞いた。

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『es[エス]』との大きな違いは、実験が始まるや、被験者たちを観察する研究者が劇中で姿を見せないこと。シェアリングは「被験者として刑務所に閉じ込められた男たちが、どう行動するかというドラマに焦点を絞りたかった」と語り、またこう付け加える。

「研究者を被験者から見えなくしたことで、そこに神のような視点が宿る。被験者たちは研究者を信じているわけだから宗教的な色合いが出てくる。この状況は、盲目的に宗教を信じることの象徴だ。現代は宗教を盲目的に信じる人が多く、国際紛争の理由にもなっている。それに対して警鐘を鳴らしたかった」

最初は囚人と看守という“役”を演じるだけだった被験者たちは、やがて対立を深め、精神的かつ肉体的な暴力に走るようになる。そして被験者のひとりは、こう問いかける。“これでも人間はサルから進化してきたと思うか?”これについて、シェアリング監督はこんな体験談を聞かせてくれた。

「UCLAで神経心理学を専攻していたころ、20匹のサルを檻に入れて実験・観察を行なった。そこでは毎回のように同じ現象が起こる。ボスになったサルは数ヵ月で下位のサルたちに引きずり降ろされ、次は2番手のサルがボスになるんだけれど、やはり半年ほどで同じことが起こり、それはオスの間で延々と繰り返される。人間も同様で、権力を手に入れると堕落し、追い落とされる。サルから進化していない点だ。世界は女性が権力を持った方が平和になるんじゃないかな (笑)」

人間社会は争い事が絶えないが、希望がないわけではない。サルと違い、人間は熟考して、その結論を行動の基盤にすることができる。「我々クリエイターにできることは、『エクスペリメント』のような物語を何度も繰り返し語り、人々にその事象を意識させること」とシェアリングは語る。『エクスペリメント』は、今だからこそ必要とされる映画なのかもしれない。

『エクスペリメント』
12月4日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー

取材・文:相馬学

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