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菊之助の玉手御前は情念、松緑の集慶は熱情。日生劇場十二月大歌舞伎、ついに開幕
2010年12月06日 16時53分 [歌舞伎・古典芸能]
『摂州合邦辻』「合邦庵室の場」より。写真左から、中村東蔵、尾上菊之助、尾上菊五郎。写真提供_松竹株式会社
『摂州合邦辻』「合邦庵室の場」より。写真左から、中村東蔵、尾上菊之助、尾上菊五郎。写真提供_松竹株式会社

尾上菊之助、尾上松緑ら若手歌舞伎俳優が大役に挑む、日生劇場十二月大歌舞伎が12月2日、開幕した。菊五郎劇団のレパートリーを当代の人気若手役者に引き継ぐこの公演、上演されるのは通しで行う『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』と舞踊の大作『達陀(だったん)』。菊之助が『摂州〜』で、父・菊五郎、祖父・梅幸の得意とする女方の大役・玉手御前を、松緑が祖父・二代松緑の振付による『達陀』で集慶をどう演じるかに注目が集まる。

日生劇場十二月大歌舞伎のチケット情報

まず『摂州〜』。玉手御前(菊之助)が義理の息子・俊徳丸(梅枝)に恋をし、毒を飲ませたのは邪恋からか、息子をお家騒動から守る母性からか、と、演者によって印象が異なる本作だが、先日のインタビューで「(俊徳丸の許嫁・浅香姫(右近)への対抗心など)激しい感情を持って向き合わないと、この役に負けてしまう」と話していた菊之助はのっけから俊徳丸への強い執着を見せていた。母子姦通はイヤだと言う俊徳丸に対し「犬畜生でも大事な身。是非にと」と迫る玉手御前の執念がすさまじい。三幕目「天王寺万代池の場」より、玉手御前の父・合邦道心に初役で挑む菊五郎が登場し、町人とのユーモラスな群舞などもあり、舞台がグッと締まる。大詰「合邦庵室の場」、人の道に外れた娘から守るため俊徳丸と浅香姫を匿った合邦の庵室に、玉手御前が俊徳丸を追ってやってくる。父を前にし、娘や継母など様々な自分の立場を超えて女の情念をほとばしらせる菊之助の玉手御前。心を揺さぶられながらもそれを大きな懐で受け止める菊五郎の父・合邦。熱のこもった親子共演は見ごたえたっぷりだ。

一方『達陀』では、『摂州〜』でキレのよい達者な奴入平を体現した松緑が僧集慶を、同じく『摂州〜』で玉手御前に本音で邪恋をたしなめる羽曳野を初役で務めた時蔵が集慶の煩悩の象徴である青衣の女人を演じる。この作品は東大寺二月堂のお水取りというはっきりとした物語性や、ダンス、バレエにも通じる要素があり、通常の舞踊作品にはないダイナミックさが見どころ。演者は効果音きっかけでカウントを取りながらフォーメーションを移動させての群舞やとんぼ切りなど、力の入った場面を熱演。また、その場面と対比させるように集慶と彼にまとわりつく青衣の女人との優美でなまめかしい場面もあり、静と動のメリハリがついているのも面白い。そのほか影絵や幻想的な照明、松明の炎やそれに伴う物の焼ける匂いなど、観客の五感を刺激する演出も枚挙にいとまがない。そして、クライマックス。集慶役の松緑がセンターを務める練行衆たちとの圧巻の群舞に会場から割れんばかりの拍手が起こり、幕を閉じた。

意欲的な演目を揃えた同公演は12月25日(土)まで。チケットは発売中。また、チケットぴあでは、ぴあ特別企画<歌舞伎アフタートークショー付>チケットの販売や二等席当日引換券割引発売も実施中。

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