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“死なない家”で分かった、芸術家・荒川修作の“死なない”哲学
2010年12月22日 20時31分 [邦画]
すべての製作作業をひとりで行なうスタイルの山岡信貫監督(撮影:鈴木透子)

「人間は死なない。死ねないんだよ」。そう断言していた芸術家で建築家の荒川修作。前衛的で奇想天外な作品群で世界に波紋を投げ続けてきた荒川が、今年5月に急逝した。

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すべての製作作業をひとりで行なうスタイルの山岡信貫監督(撮影:鈴木透子)その代表作でもある「三鷹天命反転住宅」のドキュメンタリー作品『死ない子供、荒川修作』が、渋谷シアター・イメージフォーラムで封切られている。監督は、自ら三鷹天命反転住宅に家族とともに暮らし、子育てを行った山岡信貫。ナレーションは俳優の浅野忠信、音楽は渋谷慶一郎と、“荒川美学”に魅せられたアーティストが一堂に会した。

東京・三鷹の閑静な住宅街に建つ、14色からなる奇抜な建物――荒川が建築した通称“死なない家”。カメラが部屋に入ると、そこはまるでアスレチックパークのよう。まっすぐに歩けないデコボコした床、球体の部屋、ドアのないトイレ。人間が本来持つあらゆる能力を引き出す工夫があちこちに凝らされているというが…?

「住み始めて半年目くらいから、体重が7キロ落ちたり、花粉症が治りました」と言う山岡監督。「あやしげな話に聞こえるかもしれませんね。でもこの家に住んで初めて、荒川さんの哲学が体でわかったんですよ」と苦笑する。
「この家は、荒川さんの生命論を試す実験室。僕ら住人は、いわば実験サンプルです。だから、その実験報告として、この家の生活を撮り、作品にして荒川さんに渡そうと思っていた」。しかし、荒川は、映画が出来上がる3週間前に他界した。「人は死なない」と断言していた、その真意とは何だったのだろう。

「肉体的な死は一部でしかないということだと思う。例えば“キリンの首が長いのは、高い所の草を食べようとしたから”みたいな話で、人間は科学技術で生活を便利にした分、能力を限定していないかという問いです。命が何か、それがどう変化する可能性があるのか、まだ誰も説明も理解もできていない」。

「常識を疑え、可能性を限定するな」。映画の中の荒川は、怒りさえ滲ませて、こう繰り返している。「死なない」というのは「もっと生きろ」という私たちへのメッセージなのかもしれない。

『死なない子供、荒川修作』
上映中


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