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中国を代表する舞踊家のヤン・リーピンが、1月25日、自身の最新作『クラナゾ』の製作発表を都内で行った。『クラナゾ』とは“蔵謎(=チベットの謎)”のこと。2008年と2010年に来日公演を行った『シャングリラ』に続く中国少数民族による舞踊エンタテインメントで、今回が中国国外で初のお披露目となる。
雲南省少数民族の文化や習慣に特化した舞踊ショーの『シャングリラ』に対し、『クラナゾ』は四川省をはじめ中国の5つの省に点在するチベット族の特性を歌舞劇としてまとめたもの。聖地ラサを目指す老婆の3年にわたる巡礼の物語だ。それをタップダンス、弦子舞、ヤク舞、鍋庄舞など各々の地域で実際に踊られている舞や、龍頭琴、弦胡、チベットホルンなどの特殊な楽器を駆使して紹介する。
今回、人々の現世での苦しみを救済する観音菩薩(度母(どぼ))役で主演し、監督・演出も務めるヤンは、チベットで実際に会った巡礼中の老婆をモデルにしたと語る。また『クラナゾ』の“謎”に込めた意味合いを訊かれると、作家ジェームス・ヒルトンが小説『失われた地平線』の中で、第二次世界大戦前のチベットを理想の桃源郷として描いたことを引き合いに出し、「(第二次大戦前の)混乱した社会においてもチベット族は常に自然や動物との調和を重んじて、それを実現している民族なのです。それは今でも続いている。なぜチベット族が自然と人と調和し、平和に長く生きてこられているのか。そのことが中国の漢民族にとっては謎なのです。私はそれを追求していきたいという気持ちから、“謎”という文字を題名につけました」と答えた。
『シャングリラ』同様、今回も少数民族独特の鮮やかな舞台衣裳や装置が目を引く。しかし色彩豊かな舞台の影で忘れてはいけないのは、テーマとなるチベット族の死生観だ。生死は常に一体で、苦を知らなければ楽を体験できないという教えが根底にある。空気が非常に薄い海抜4000メートルにあるポタラ宮(=チベットの仏教、政治、芸術の中心)を修繕する踊りなど、舞台で繰り出される特徴的な踊りから、舞うことで現世の苦しみを楽に変える彼らの本質を読み解きたい。公演は4月5日(火)から10日(日)まで渋谷・オーチャードホールにて。チケットは発売中。
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