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新国立劇場演劇『ゴドーを待ちながら』が4月15日、同劇場の小劇場[THE PIT]にて開幕した。1953年にパリで初演されたこのベケットの不条理劇は、現代演劇の問題作とされ、多くの名優が挑んできた。今回は橋爪功がヴラジミール、石倉三郎がエストラゴンに扮し、演劇集団 円の森新太郎が同劇場で初の演出を務めた。
時は夕方、1本の木がある田舎道。道端に座っているエストラゴン(石倉、通称ゴゴ)はなかなか靴が脱げない。そこへヴラジミール(橋爪、通称ディディ)がやってきて、ふたりは会話をしながら会ったことのないゴドーを待ち続けている。やがて主従関係にあるポッゾ(山野史人)とラッキー(石井愃一)が登場の後去ると、少年(柄本時生)が現れる。彼はふたりにゴドーの言付けを伝える。「今日は来られないが、明日は必ず来る」と。翌日、ふたりは同じ場所でゴドーを待ち続けるが……。
演技の質が違う橋爪と石倉のコンビバランスが良い。生活に困難なおいぼれふたりが、ごっこ遊びなどに興じて時間を延々と潰したり、理不尽なことを言っては相手をやり込めたり追い詰めたりする様は、まるで寂しい子供のようで、おかしくも切なくもある。また芝居自体は不条理劇という側面よりも、ふたりの俳優によるテンポの速い会話やリアクションに目を奪われる作りになっており、これは森の演出と岩切正一郎の新訳によるところが大きい。
初日を観た演劇関係者が会場で「『ゴドー…』ってこんな(面白い)感じだったっけ?」と話すのをあちこちで見聞きした。かつて違和感のあったセリフは現代にフィットする言葉へほぼ訳し直されており、劇自体が見やすくなっていること。柄本以外の60代の4俳優に激しい動きを強いていることへのおかしさ。そして橋爪と石倉のふたりが醸す無邪気さと絶望感の入り混じった何とも言えない雰囲気。新しい『ゴドー…』の面白さはこんなところにあるのかもしれない。公演は5月1日(日)まで。チケットは発売中。
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