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安定した人気を誇った劇団・東京セレソンデラックスを2012年に解散し、昨年、エンタメプロジェクト・TAKUMA FESTIVAL JAPAN(=タクフェス)を発足させた宅間孝行。形態を変えても“笑って泣ける”作風は健在で、劇団時代と変わらぬ作品力を見せつけた第一弾「晩餐」に続く第二弾公演は、劇団で過去3度上演された人気作「夕 -ゆう-」。6年ぶりに復活する本作で作・演出、そして初演から変わらずヤンキー高校生の元弥役で出演する宅間孝行に話を聞いた。
TAKUMA FESTIVAL JAPAN『夕−ゆう−』チケット情報
「今これをやるのはいわゆる“大人の事情”(笑)。実は同時期に『夕 -ゆう-』映画化の話があり、じゃあ芝居もということだったんですが、映画が延び延びになってしまい、芝居だけが残った形です。ただ前作の『晩餐』が新作だったこともあり、観客の中でセレソンとタクフェスがまだ連結していない感がある。そんな中でスタンダードな人気作をやることで、衣替えした姿がタクフェスだということが浸透してくれればいいなと。結果的にとてもアリでしたね」
1980年代の長崎、とある海の家兼民宿が舞台。そこに住むヤンキー三兄弟の次男・元弥(宅間)に、隣家の幼なじみ・夕(内山理名)は密かに想いを寄せている。そんなこととは知らず、元弥は夕の親友・薫(上原多香子)に夢中で、薫はこれまた元弥の親友・憲太郎(阿部力)に憧れを抱く。年月が流れ、大人になった夕は、いまだ元弥への思いを言葉にできずにいた……。
初演は2003年。「やっぱり今やるといろいろなズレが生じる。例えば、タモリが大好きな男子高校生が出てくるんですが、当時は“ちょっと変わった人”として作っていた。でも今だと『タモさんは凄い』って言ってももはや普通のことで、意味合いが違ってきちゃうんですよね」と苦笑する。だが同時に“移り変わらないもの”が確かにあるからこそ、長く愛され続ける作品となった。
「最初書いたとき、稽古場でみんなに謝ったのを覚えてます。起承転結のない話だし、“あるある”を詰め込んでるみたいなところがあって実はベタの極み。オチの泣かせ方も底が浅いような感じがして、全然自信がなかった。逆にいうと、だからこそ笑いがふんだんにないと成立しない作品でもあるのでそれがうまくハマッたり、その他いろんなパーツが奇跡的に上手く作用して、好転したんですね」
一新されたキャストにも、「みんな抜群にハマッてる。決定版じゃないかな」と自信をのぞかせる。誰もが経験した甘酸っぱい青春をこの夏、劇場で追体験できるはずだ。公演は7月3日(木)から21日(月・祝)まで東京・サンシャイン劇場にて。その後、新潟、大阪、愛知、宮城でも公演。
取材・文:武田吏都
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