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藤原竜也と中田秀夫監督が2010年の『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』に続きタッグを組んだ『MONSTERZ モンスターズ』がまもなく公開となる。前作とは異なる作風、キャラクターとなった本作におけるコラボレーション、今回チームに新たに加わった山田孝之の存在…公開を前にふたりが語り合った。
生まれついて、その視界に映る人間の行動を自由に操る術を持つ“男”(藤原)と、彼が唯一操ることができない存在で、不死身のような強靭な肉体を持つ田中終一(山田)。“男”はその平穏を脅かしかねない終一を、群衆を動かして抹殺しようとするが…。
藤原が演じた“男”はそもそも名前さえ明かされないことも含め、全てが謎の存在。中田は「竜也くんに迷惑をかけないように(笑)」あえて、この“男”のバックグラウンドや心情について詳しく説明せずに撮影に臨んだ。
「もちろん竜也くんは演劇の世界でもいろんな巨匠と大きな仕事をしてきたけど、僕にとってはシュッとしたフォトジェニックで美しい姿といい、目の強さといい、“映画俳優”なんですね。堂々とした立ち居振る舞いの一方で、その場の空気を感じて、こちらのセッティングにスルッと入り込んで一番ほしいところを核心的に演じてくれる。だからこそ僕が現場であれこれ言う必要がなかった」。
一方で藤原の中田への信頼もゆるぎない。「こういう作品、設定の特異さもそうだし、出来上がりがどうなるか読めないまま演じないといけない部分が多い。中田監督はその点、ぶれずに明確なイメージを持って撮影するから信じて身を預けられるんです」。
藤原にとっては山田との共演は意外にもこれが初めてだが、中田はふたりの道が交わらなかったのは「共に若くして主役を張ってきたからこそ」の必然と捉える。そしてその“競演”は全く違うルートと方法で同じ山の頂上を目指すクライマーのようなものだった。「さっきも言った通り、竜也くんが天性の勘でズバッと来るとすると、山田くんはごく小さなセリフでも何度も口の中で微妙に変えながら繰り返し、次に投げ込む球を精緻に考えるタイプ。天性の勘vs理知の極致とでも言うべきものを見せてもらった」。
藤原の口からも山田への惜しみない称賛の言葉がこぼれる。「今回、特にテンションの維持が難しい役だったと思うけど、本番への気持ちの持っていき方が素晴らしい。隣で見ていて、苦しみながらも1カット1カットをこなしていくのを頼もしく思ったし、演じながら引っ張ってもらうような感覚を覚えましたね。このタイミングで共演できたことを幸せに思います」。
鬼才と若き演技の鬼ふたり…3人の“モンスター”の魂のぶつかる音にじっくりと耳を傾けてほしい。
『MONSTERZ モンスターズ』
5月30日(金)全国ロードショー
取材・文・写真:黒豆直樹
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