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ダークな笑いと不条理な作劇で知られるケラリーノ・サンドロヴィッチが、チェーホフの四大劇『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』を全て上演する企画に挑戦している。最高のキャストとタイミングで上演するという主旨のため、不定期シリーズだが、言い方を変えれば、条件が揃わない限り上演しないという贅沢な企画だ。第1弾の2013年の『かもめ』は、繊細で緻密な人間模様を描き出して好評だった。チェーホフは『かもめ』をあえて「喜劇」としているが、KERAは人間の哀しくもおかしい喜劇性を見事に、すくいとっていた。そして、待望の第2弾『三人姉妹』が、2015年に上演される。出演は、三人姉妹を演じる余貴美子、宮沢りえ、蒼井優のほか、堤真一、段田安則ら豪華な顔ぶれ。『わが闇』『祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹』などをはじめ、女性トリオものを多く書いているKERAにとっては、いよいよ“本家”と向き合うことになる。
「チェーホフの『三人姉妹』を強く意識したのはナイロン100℃の公演『わが闇』頃からなんですが。『3人』が好きなんですね(笑)。ふたりより複雑な関係性を作れるので。加えて女性を書くのが好きなので、女性トリオものが多くなりますね。好きな要素が重なっているので『三人姉妹』は、積極的に取り組みたい作品のひとつです」
19世紀末、故郷モスクワへ帰ることを夢みている3人の姉妹と、彼女たちを取り巻く人々のささやかな希望と挫折を描いた名作にKERAはどのように取り組むのだろうか。
「チェーホフ作品は、大きな事件はすべて幕間ですでに起きていて、観客に見せるのは事件の後なんです。だから、一見退屈に思えるシーンでも、水面下では様々なドラマが蠢いているその空気をどれだけ伝えらえるかがポイントになると思います。『かもめ』は、半分は青春物語でしたし、比較的笑いも作りやすかったのですが、『三人姉妹』は、笑ってられない戯曲なんですよ。四大劇の中でも最もペシミスティックな、ひどい話ですね(笑)」
姉妹たちはモスクワへ帰れず、恋は実らないし、他の人の望みもことごとく崩れる。しかし、KERAは、そこにチェーホフの冷徹な人間観を感じている。
「登場人物は誰も彼も皆、悩みか後悔を抱えていますね。そんな状態の、悶々とした人々に焦点を当てることで、所詮人生は不条理なことばかりなんだと俯瞰した目で見ているのがチェーホフ。僕はそれが面白いと思っています。チェーホフの意図を忠実に実現することが目標です」
今回も、前回同様、翻案などは一切しないが、KERA独特の「チェーホフの読み方」が、新鮮な『三人姉妹』を生み出してくれるだろう。
公演は2月7日(土)から3月1日(日)まで東京・シアターコクーン、3月5日(木)から15(日)まで大阪・シアターBRAVA!にて。チケットの一般発売は12月6日(土)午前10時より。なおチケットぴあでは現在インターネット先行を実施中。
取材・文 沢美也子
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