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前作『カワイクなくちゃいけないリユウ』から3年。初演時のキャスト4人はそのままに、続編に当たる新作『シアワセでなくちゃいけないリユウ』と『カワイク〜』の2作が、一挙同時上演される。そこで1月22日、東京・新国立劇場 小劇場で幕を開けた、『シアワセ〜』を観劇した。
グレッグ(村井良大)とステッフ(村川絵梨)、ケント(植原卓也)とカーリー(吉川友)のふた組のカップルが、恋愛や友情に関するさまざまな本音をぶつけ合い、成長していく姿を描いた前作。新作『シアワセ〜』では、4人の男女の3年後が描かれる。それぞれのパートナーとの別れから3年。グレッグとカーリーがつき合い始め、ステッフは別の男性と結婚。ケントはかつての浮気相手とカップルになっていた。しかし…。
すべてをリセットし、新しい生活をスタートさせたかのように見える4人の男女。しかしステッフとケントの口から発せられるのは、かつてのパートナーへの未練や、今のパートナーに関する不満ばかり。そんなふたりの言動はグレッグとカーリーの関係をも大きく変えていき、しかも前作から経過した3年という年月は、よりヘビーな問題を4人に突きつけていくこととなる。
四方を客席に囲まれた舞台。登場人物は4人だが、主にふたりずつのシーンが連続することで、物語は展開していく。今回の新作でも、ニール・ラビュートの書く活き活きとしたセリフは健在。今を生きるカップルならではの、等身大の言葉の数々が劇中を躍る。なかでもグレッグ役の村井のセリフ量は驚異とも言えるが、安定感のある演技力により、そのひと言ひと言が観る者の心にしっかりと伝わってくる。
4人のキャラクターは皆バラバラで、それぞれが非常に個性的。グレッグの優しさゆえの優柔不断さや、ステッフの切ないほどの勝ち気さ。ケントの短気だが憎めない愛らしさに、カーリーの愛情ゆえの物分かりのよさ。そういった多面的な人物描写が本作の欠かせない魅力であり、観る側が誰に感情移入するかにより、作品自体の見え方が大きく変わっていくのもまた興味深い。
3年が経ち、少しだけ大人になった4人の男女は、“カワイク”あることよりも、“シアワセ”になるためにどうすればいいのかを考える。こうしてよりビターな味わいとなり、大人向けの極上のラブ・ストーリーへと進化した『シアワセ〜』。もちろん本作をより楽しむためには、合わせて『カワイク〜』も観劇されることを強くおすすめしたい。
公演は1月22日(木)から2月1日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場、2月7日(土)・8日(日)大阪・松下IMPホールにて。チケット発売中。
取材・文:野上瑠美子
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