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チャップリン晩年の傑作映画『ライムライト』、その世界初の舞台化が日本で実現することとなった。映画と、チャップリンの未発表小説『フットライト』を下敷きに、オリジナル音楽劇として再構成される。映画の中で名優が演じた主人公カルヴェロに扮するのは、近年舞台のみならず映像でも目覚ましい活躍を見せる実力派、石丸幹二だ。以前からチャップリンに深い関心を持っていたという石丸は、今回の縁について「運命の結びつきかもしれない」と熱を込めて語った。
「もう20年も前に『チャップリン自伝』という本を読んでいたんですね。あれほどの名作を作った人ってどんな人なんだろう…と、彼自身の人となりに興味があったんです。その後、チャップリンの半生を綴った創作音楽劇(2013年『スマイル・オブ・チャップリン』)に出演する機会を得て、その舞台で『ライムライト』のテーマ曲『エターナリー』を歌いました。そういったさまざまな出来事が今、運命のパレットの中でひとつの色に集約されたような気がしています」
かつては名声を博したが、いまや往年の輝きを失った老喜劇役者カルヴェロ。彼は若きバレリーナ(野々すみ花)から献身的な愛を受けるも、彼女の幸せを願って身を引き、新進作曲家(良知真次)と結びつけようと画策する。美しくもせつないラブストーリーを、映画では当時60代前半のチャップリンが至高の演技で見事に表現している。
「ものすごいチャレンジです。この役を演じるには私はまだ若いかな…と最初は思いました。でも単なる映画の再現とは違うオリジナルの舞台ですから、役を自分に引き寄せることもありだと思う。あまりにも多くの方に知られた作品なので、はたして石丸幹二はこの役を表現するのに適しているか?とはかられるでしょうね。でもそこで認めていただけたら、この先何年でもやれる役だと思うし、ぜひそうしていきたいと思っています」
カルヴェロの生き方から強く心に響いたテーマは「人にものを残し、伝えること」だという。「カルヴェロが自ら身を引き、若い者同士が結ばれるように仕向けたのは、愛情という面だけでなく、才能と才能を出会わせたとも言える。そういう生き方を自分もできたら素敵だなと思いました。私自身も50歳を前にして、後進の人たちの才能を表に推し出すことを考えるべき歳になったんだな……なんて思ったりしましたね」
世界中のチャップリン・マニアが日本の舞台に押し寄せるのでは? と問うと、「そうなったら楽しい! ありがたいことですよね。プレッシャーも楽しく受けとめます。コピーではない、自分たちの『ライムライト』を作っていけば、ちゃんと胸を張れるものができるはずだから」と頼もしい言葉が返ってきた。この予想、あながち冗談では終わらないはず。世界が愛した名作の進化に期待したい。
公演は7月5日(日)から東京・シアタークリエにて。チケットの一般発売は4月25日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選を実施中、4月13日(月)午前11時まで受付。
取材・文:上野紀子
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