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劇作家・倉持裕が書き下ろす新作『虹とマーブル』が8・9月、東京・世田谷パブリックシアターほかで上演される。1960〜80年代の日本を舞台に、スケールの大きなドラマが展開するという。倉持と、主演の小出恵介、その相手役を務める黒島結菜に聞いた。
「60〜80年代に設定したのは、日本がギラギラしていたエネルギッシュな時代で、主役が主役らしく輝けるから」と倉持はその意図を語る。「約30年もの長いスパンで書くのは、僕にとって新しい挑戦ですね。俳優たちは20〜40代までを演じることになる。欲望剥き出しに、泥臭く演じてほしいです」。
小出が演じるのは、チンピラから成り上がっていく男、鯨井紋次。倉持が「小出くんはワイルドさと知的な雰囲気を両方もっている人。裏の世界で生きる男を、チャーミングに演じてくれるはず」と太鼓判を押せば、小出は「昭和の人間を演じたことは何度かありますが、生きる意味や社会での立ち位置をみんな考えていて、名を成すことに照れがなく素直に動いていたイメージがあります。自分もこの時代に生きていたら、時代の空気に乗ってめちゃくちゃやっていたかもしれないですね」と笑う。
その紋次に若き日に見初められ、女優へと押し上げられていくのが、黒島演じる芹沢蘭だ。倉持はふたりの関係性について「紋次はスターを作ることで自分の力を誇示したかったけれど、蘭は最初、そこまでやる気を持っていなかった。ところが、実際にスターになってみると、蘭に自覚が芽生え、狡猾になっていくのに対して、紋次は、自分の掌の上で蘭を転がしていたはずなのにと、ふと我に返る。関係性が逆転するさまを描けたらと思っています」と説明。
黒島が「今回が初舞台ですし、20代から40代までを演じるのも初めて。不安はありますが、楽しみのほうが大きいです。ただ、私がこの時代に生まれたら、女優もやっていないだろうし、すぐにつぶされていたと思います。今の仕事も初めから目指していたわけではなく、やり始めてからがんばろうと思ったくらいで、流れに身を任せるタイプなんです」と言うと、倉持は「蘭とのイメージと重なります。思い切り演じてほしい」とエールを送った。
倉持によれば、『虹とマーブル』というタイトルには「どん底かてっぺんか、その立場による物の見え方の相違が表されていて、観劇後にその意味が分かる仕掛けになっている」という。どこかほろ苦さも漂いそうな気配だが、「哀しいだけではなく、希望をもって終わりたい。“時代遅れ”なファンタジーを、楽しんでほしいですね」(倉持)。
東京公演は8月22日(土)から9月6日(日)まで。チケットの一般発売は6月20日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選「プレリザーブ」を実施中、6月2日(火)午前11時まで受付。
取材・文:高橋彩子
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