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声優や女優として活躍し、ミュージカル界でも人気を集める平野綾。2013年にミュージカル『レ・ミゼラブル』(以下『レ・ミゼ』)のエポニーヌ役に抜擢され、今年も再び同役で登場。現在は、東京、名古屋での公演を終え、7月8日(水)からは福岡、8月8日(土)からは大阪での公演を迎える。役にかける新たな思いを聞いた。
文豪ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、19世紀フランスの下層社会を生きる人々を描く物語。エポニーヌは、革命を訴え、人々のために国を変えようとする青年マリウスを一途に愛する。しかし、その思いは決して報われない。「前回は、わざとがさつに、マリウスが女子だと意識しないような男の子≠ニしてエポニーヌを演じろと言われていたんです。今回は、マリウスに対しては素直になれないけれど、等身大の女の子という自然なエポニーヌ像になりました」と話す。
エポニーヌに共感し、もしくは同情する観客は多い。「演出家が、エポニーヌを悲しくて哀れな方向に持っていくのはやめましょうと。私も彼女は強い子だと思いますし、自分の悲しさを人には見せたくない。その強がりな部分が、悲しく切なく映るんですね。エポニーヌはマリウスに振り向いてもらえなくても、自分をかわいそうだと思ってはいないんですよ」。それは、名曲『オン・マイ・オウン』にも表れているという。「妄想の中でだけマリウスは自分のもので、それだけでも彼女は幸せなんです。気持ちを奮い立たせているけれど、現実に戻り、それでも前向きに想い続ける」
そんなエポニーヌがマリウスの身代わりとなり、彼の腕の中で死んでいくシーンは涙を誘う。「彼女が生きてきた中で、一番幸せな瞬間だと思うんです。一番の夢だった彼をやっと自分のものにできた。『レ・ミゼ』の登場人物は皆、生きることに貪欲だから、エポニーヌも自分が死ぬなんて思いもしていなかった。最後まで生き抜こうとしていたんでしょうね」
昨年、父親を病気で亡くした。「苦しかったですが、『誰かを愛することは神様のおそばにいることだ』というエピローグの歌詞に、父の死が集約されていると感じました。悲劇的な話に見えるけど、最後は光がさして多くの人に希望を与える作品なんです」とほほ笑む。
小学生のときの絵日記に「ミュージカルスターになりたい」と書いたほど舞台は夢だった。「やりたいことを全力でやれている今が一番幸せ」だという。しなやかな強さがエポニーヌと重なった。
公演は7月8日(水)から8月1日(土)まで福岡・博多座、8月8日(土)から29日(土)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、9月5日(土)から7日(月)まで富山・オーバード・ホール、9月17日(木)から24日(木)まで静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)大ホールにて。チケットぴあでは、福岡、大阪、静岡公演のチケット発売中。
取材・文:米満ゆうこ
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