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今年、パルコプロデュース「いやおうなしに」の脚本を手がけ、昨年の月影番外地「つんざき行路、されるがままに」では岸田國士戯曲賞の最終候補となるなど、注目を集める劇作家・福原充則と、舞台を中心に活躍する俳優の富岡晃一郎によって結成された劇団ベッド&メイキングス。劇団名が「ベッド(劇場)をメイキングス(作る)」に由来するように、倉庫や野外テント、円形劇場といった様々な空間での上演を続けてきた。その第4回公演となる本作は、好評を博した旗揚げ公演「墓場、女子高生」の再演。7月17日(金)、東京・東京芸術劇場シアターイーストにて開幕した。
物語の舞台は、タイトルの通り女子高生たちが遊び場にしている「墓場」。好きな人に告白するのかどうか、部活動の合唱部で次は何を歌うのか、他愛のない話に興じる彼女たちの中に、ひとり話題に入ってこない女子高生・日野がいる。それもそのはず、彼女は幽霊なのだ。ただ、その姿に悲壮感はなく、幽霊友だちの真壁や、妖怪の山彦らと会話を楽しんでいる。「幽霊って、現世への恨みつらみとか、そういうのを抱えた存在でしょ? でも私、そんな気持ちないから」と幽霊らしからぬ清清しさ。それに対する山彦の「残された人が考えてくれてるから、日野ちゃんは今、存在してるんだよ」という言葉にも軽い反応。幽霊としてでも現世にいることに執着はないのだろうか。その一方で、生きている同級生たちは、今も日野のことがひっかかる。底抜けに明るく振舞っている彼女たちではあるが、それはむしろ日野が亡くなったことから、目をそらそうとしているかのよう。そんな中、彼女らのひとりが「(日野を)生き返らせたいと思っている」と打ち明ける。
物語の中心を作る8人の女子高生役のキャストは初演から一新。清水葉月、根本宗子、青山美郷ら、活躍めざましい若手女優の新たな組み合わせによって、新たな「墓場、女子高生」に仕上がった。大人と子どものどちらでもない中間の存在である女子高生たちの持つキラキラした生と、そのすぐ隣にある死の存在。彼女たちの繰りひろげる、力いっぱいの愛すべきバカなやりとりに笑わせられ、同時に、若さゆえの自己中心的な発想に胸が痛くなる。まだ小劇場演劇を見たことがないひとにもお勧めしやすい一作。演劇的な手法を巧みに使い描く、福原のバカバカしくも悲しい物語を存分に味わってほしい。
公演は7月26日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて。
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