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小出恵介が前のめりで時代を疾走する熱い昭和の男に
2015年07月24日 18時29分 [演劇]
小出恵介
小出恵介 撮影:奥村達也

実力派俳優として幅広く活躍する小出恵介が、舞台『虹とマーブル』で主演を務める。作・演出を手掛けるのは、コメディーからシリアスな作品まで、人間の奥底に潜む本能や内面を鋭利に切り取る劇作家・倉持裕。今作で1960年代から1980年代までの30年間、日本を駆け抜ける“昭和の男”を演じる小出に意気込みを聞いた。

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小出が演じる主人公の鯨井紋次は東京大空襲で両親を亡くす。「最初は貧乏人で、厳しい中で育ち、いい状況だったとはいえない。でも野心を持っていて、高嶺の花である女性、権威、お金といったあらゆるアイコンを手にいれるため、仕掛け人・プロデューサーになる人物なんです」。その後、黒島結菜が扮する芹沢蘭と出会い、映画事業やプロレス興行にのめり込み、蘭を女優としてスターダムに押し上げていく。「蘭とラブ的なことが起こり(笑)、三角関係にも陥る。作品はコメディータッチですが、ロッキード事件をはじめ、モハメド・アリとアントニオ猪木の異種格闘技戦など、社会的な事件を交えて時代性を反映させるそうです」

背景となる60年〜70年代は小出にとっては親の世代だ。「演じていてとても好きな時代ですね。NHKの連続テレビ小説『梅ちゃん先生』でも、家を飛び出して会社を興す人を演じましたが、一代で成り上がることが起こりうる、熱い時代だと思います。学生運動のように主体性があって、参加意識が強く、自分たちが時代を変えられると信じ、キラキラしている。昭和という時代はきれいに見えるし、過去に出演した舞台『MIWA』でもそうでしたが、もう顧みる時代になっているんですね」。今回の紋次も「暑苦しい部分がある、前のめりのキャラクター」だと分析する。「山っ気もありますし。僕は全然なくて、ぬるぬるっとやっている感じです(笑)。でも、どの役でも演じるときは、共感を見いだすことはしない。自分とは別だと切り離すことが多いですね。ただ、その役を愛せればいい」

倉持作品は初出演で、その魅力は「作品によって全然雰囲気が違うところ」だと語る。蜷川幸雄や野田秀樹ら奇才たちと舞台で経験を積み、今作で2年振りにステージに立つ。「時間が空きすぎると怖くなるので、1年か2年に一度はやりたいですね。舞台は作品として残っていくものですし、その世界に貢献したい。今回も絶対面白い芝居になりますよ」。どこか飄々としながら、熱さも感じさせる。どんな成り上がりの昭和の男に豹変するのか見逃せない。

取材・文:米満ゆうこ

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9月8日(火) 島根・島根県民会館 大ホール
9月10日(木) 広島・広島JMSアステールプラザ 大ホール
9月12日(土) 福岡・そぴあしんぐう 大ホール
9月17日(木) 宮城・電力ホール
9月20日(日) 大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
9月22日(火・祝)・23日(水・祝) 愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール
9月25日(金) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール

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