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小説「グレート・ギャツビー」の作者であり、酒と享楽が時代を支配した1920年代米国を表すアイコンとしても知られる作家、スコット・フィッツジェラルド。時代の寵児として駆け抜けたスコットと妻ゼルダの希有な人生を、作曲家フランク・ワイルドホーン(『ジキル&ハイド』『スカーレットピンパーネル』)がミュージカル化、今回初めて日本版が上演される。キャストのウエンツ瑛士と濱田めぐみ、中河内雅貴、山西惇、そして日本版演出の鈴木裕美と、今回特別に募ったオーディエンスが出席した製作発表が、8月27日、都内の会場で行われた。
製作発表はパフォーマンスからスタート。1920年代のアメリカは“ジャズ・エイジ”でもあり、ビッグバンド風の華やかな曲「唸るほどの金」をバックに、中河内が三つ揃いのスーツでダンスを。途中で参加したスコット役のウエンツとゼルダ役の濱田の歌は、成功に酔いしれる若者の心情がストレートに伝わってくる。次いでスローな曲調に変わり、ウエンツと濱田のデュエット「すべてをくれる人」。互いの魅力を歌で言い合う姿は、ふたりのつかの間の幸せを表しているようだ。どちらもワイルドホーンらしいキャッチーで耳なじみのいい曲で、観劇の帰りについ口ずさんでしまいそうだった。
パフォーマンスの後、改めて登壇した5人。まず演出の鈴木が「日本版(上演台本は蓬莱竜太)では米国版と異なり、あるルポを書こうとする作家ベンの回想から始まります。少数精鋭のキャストで割りとスタイリッシュに、ソリッドなミュージカルにする予定です」と意気込みを語った。今回2度目のミュージカル主演となるウエンツは「また(ミュージカル出演の)チャンスをいただけて嬉しい。歌やダンスは僕より上手い人がたくさんいると思いますが、僕なりにスコットの魂をつかまえて演じたい」と役への全力投球を約束。相手役の濱田も、「実存した人物を演じるのは難しいですが、リアルさをもって演じて、この素敵な作品に貢献したいですね」と健闘を誓った。
一方の中河内の役は「1920年代の象徴」という抽象的なもので、これも日本版オリジナル。「当時の風景や香りをしっかり表現したいなと。いろんなシーンで(登場人物の)邪魔にならないように、舞台に存在できれば」と稽古を楽しみにしている様子だ。「ベンはスコットと違っていわゆる“凡人”。でもルポを書くうちに、作家としての矜持を取り戻していくのかなって」と、役の印象を語ったのは、作家ベンを演じる山西。実力派の彼がどう舞台を引き締めるのかにも注目したい。それぞれユーモアをまじえて答えるなど、なごやかに進行した今回の製作発表。4名ともほぼ初対面というものの、舞台への真摯な姿勢は共通のもの。素顔がかいま見られた製作発表に、本番が一段と楽しみになった。
ミュージカル『スコット&ゼルダ』は10月17日(土)から11月1日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、11月7日(土)・8日(日)大阪・新歌舞伎座にて。
取材・文 佐藤さくら
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