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「ペンはここ、ドアはあっち。サインをするのは今だ!」彼は高らかに、そう叫んだ──その手には運命を決める、契約書。
都内スタジオで行われていたのは舞台『ボーイバンド』の通し稽古。これは現在、世界中で上演されている新進気鋭の劇作家ピーター・キルターの戯曲で歌とダンスが折り込まれた物語。「歌って踊る、けれどミュージカルではないストレートプレイという、ちょっと変わった新ジャンルを目指しました」と語るのは、演出の板垣恭一。
果たして気になる内容は、プロデューサーのリチャード入賀(新納慎也)に見出されたソースケ(平野良)、リュウ(大山真志)、サクヤ(碓井将大)、ゲン(味方良介)、カツミ(藤田玲)の5人が組んだ「フリーダム」の栄光と葛藤の生々しい青春譚。
作中で歌う曲は各国自由。ゆえに彼らが披露するのは懐メロから流行歌、洋楽まで、誰もが思わず口ずさむ名曲ばかり11のナンバー。ハーモニーが美しい、踊る姿がカッコいい、なによりも5人そろって歌う姿に心が踊る。その成長を見守るのは宣伝の織辺征人(伊礼彼方)と振付の立花アンリ(蒼乃夕妃)。メンバーを完全管理する入賀に対し、ときに意見してはぶつかる。彼らを追う記者や音楽祭のMC、果ては黒子まで、アンサンブルを務めるのは東啓介とKEN(S☆RUSH)のふたり。場面に合わせて、くるくるとさまざまな役を演じる姿にも注目だ。
入賀の手腕により、結成2年目にしてスターダムにのし上がった彼らは有頂天に。5人が浮かれてじゃれあう姿は微笑ましくてただただ楽しい! しかし、マスコミに付け狙われ、過剰なファンとバッシングの嵐にさらされ、その歯車は少しずつズレていく。反発しあう者。逃げる者。真実を隠す者。そんなメンバーに苛立つ入賀。そしてゲンは叫ぶ。
「俺達は心開いたり、話したりしてもよかったの?」
共に過ごした2年という時間は虚構だったのか? 全員が己の抱えたものに潰されそうになり、全国ツアーファイナルを飾るトキオドームでのライブ前日、事件は起こる。果たして、彼らは憧れの舞台で歌うことはできるのか……。
5人が歌うと、控えているキャストやスタッフから手拍子が起こり、この空間への愛情が伝わる。けれど、それは同時に心地よい緊張と熱をはらみ──通し稽古は終わった。「休憩です。10分後開始です」
彼らの稽古は初日まで続く。この戯曲ならではの5人の姿が詰まっている、すてきな映像も乞うご期待。
『ボーイバンド』は10月10日(土)埼玉・志木市民会館パルシティでのプレビュー公演を皮切りに、15日(木)から25日(日)まで東京・よみうり大手町ホール、31日(土)大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。
取材・文:おーちようこ
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