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世田谷パブリックシアターの芸術監督である野村萬斎が監修する「現代能楽集」。この11月に上演される第8弾『道玄坂綺譚』では、三島由紀夫の『近代能楽集』から「卒塔婆小町」と「熊野(ゆや)」の2作品をとりあげる。劇作・演出を手がけるのはマキノノゾミ。「古典の知恵と洗練を現在に活かす」というコンセプトのもと行われる公演だが、今回は原作となる能、それを近代の物語へと変換させた三島、さらにそれを現代、はては未来の東京へと移し替えようと試みるマキノと、三重構造の物語が折り重なる作品となる。「卒塔婆小町」と「熊野」がどのように融合されるのか気になるところだ。今作に出演する一路真輝と水田航生に話を聞いた。
一路はネットカフェで暮らす老婆コマチと幻想の中の洋館の女主人を、水田はネットカフェで働く青年カオルと、熊野の若い恋人薫のそれぞれ二役を演じる。「“卒塔婆小町”というと、歌舞伎役者の嵐徳三郎さんが演じられたものをはじめとしてケレン味のある演し物という印象。空想のなかで老婆がいきなり美女に見えるという、お客様を思いっきり騙すような役柄ですから、ふつうの女優が演じるのはどうなんだろうと最初は戸惑いました」と語る一路。「でも、マキノさんが料理してくださることを期待して飛び込んでみました。お客様にこの物語がどう映るのか、興味が高まります」と続ける。一方の水田は「平成生まれの人間としては、古くからある能楽がどうやって平成の世に放たれるのだろう? と今から楽しみです。僕の演じる役は三島の『熊野』では名前しか出てこないのですが、実際に登場するという時点でもう元の話とは違いますから」と期待に胸を膨らませる。
取材時はまだ稽古が始まる前ということで、役柄の詳細についてはまだ知らされていないふたり。一路は「もしかしたらマキノさんは制作発表やポスター撮影などで顔を合わせた私たちキャストの様子を観察して、それを戯曲に反映させようとしているのかも」とマキノのたくらみについて想像をはたらかせ、「マキノさんがどうしようと考えているのか、自分の役がどうなるのか、今はまだわからないことだらけ。でもふたつの役の対比をうまく出せたらと思います」と話す。水田も「いろいろな役が過去と現在と未来で交錯するなか、僕は現在と未来を行き来することになりそう。二役を演じるのは初めてなので、新たなチャレンジです」と決意を語った。
「物語や役柄についてお話しするのは難しいけれど、すごくわかりやすい、面白い作品になると思います」と一路が語ると、水田は「面白かったー!と席を立って、その後にぞわぞわするような作品になればいいなと思います」と続けた。
公演は11月8日(日)から21日(土)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。チケットは発売中。
文:釣木文恵
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