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第一次大戦直後の英国を舞台に、伯爵家を継ぐことになった青年の愛と人生をファンタジックに描く『薔薇色のfrontier』。劇作家・演出家である斎藤栄作の書き下ろし作品で、美しい楽曲と、時代背景に合わせた華やかなコスチュームプレイにも注目が集まっている。主人公を演じる小野健斗と、その婚約者役の桜乃彩音、さらに主人公を不思議な世界へ誘う男に扮する泉見洋平に、意気込みを聞いた。
1918年のロンドン。第一次世界大戦から帰郷した伯爵家の次男エディ(小野)は、戦死した兄の代わりに家督を継ぐことになる。兄と結婚するはずだったアンナ(桜乃)と婚約も決まり、アンナに恋心を抱いていたエディは「代わりでもいい」と幸せを感じていた。だが貴族社会の崩壊によって、伯爵家は経済的な危機に直面。アンナの母は、結婚後にエディも渡米することを条件に援助を申し出るが、エディの心は伯爵家の存続とアンナへの愛の間で激しく揺れ動く。そんなある日、バトラー(泉見)と名乗る男が現れて、不思議な世界〈frontier〉へエディを誘う。遠い記憶を呼び覚ます懐かしい歌声に、エディは……。
劇中、エディとバトラーのふたりは“貴族の城の庭”“芝居小屋”など、異次元をさまよう。「エディはバトラーや他の登場人物によって激しく心を揺さぶられるのですが、それぞれの“次元”を経験していくうちに、どう変わっていくのかを見てほしいです」と小野。隣でうなずきながら泉見も「エディを追っているうちに、観客の方も懐かしい感情を呼び起こされるんじゃないでしょうか。そういう普遍的なテーマが、この作品には詰まっていると感じます」と、鑑賞のヒントを教えてくれた。一方の桜乃は、ヒロインのアンナを含め4役を演じる。「それぞれの“次元”ごとの演じ分けが難しいですが、どの役でもエディとの関係性を意識して演じたいです」と意気込みを語ってくれた。
役との共通点を質問中、優しげな容姿とは裏腹に「けっこうガンコなんです、私」と大胆な発言も飛び出した桜乃。「でもそういう意思の強さはアンナにも感じるので、役づくりに生かせれば」と話した。対して、普段は穏やかな性格で、役と正反対というのが小野だ。「エディは自分の葛藤を、八つ当たりみたいにバトラーにぶつけているところがありますよね(笑)」という小野に、「それでエディの心の呪縛が解き放たれるわけだから大丈夫。バトラーとしては “サンドバック”になるよ」と泉見が包容力たっぷりに返し、小野と桜乃が笑い出すひと幕も見られた。
小野が「軍服を着るのは初めてなので、なかなか慣れなくて…」と漏らすと、宝塚歌劇団出身の桜乃が「すごく似合ってましたよ」と太鼓判を押すなど、すでにチームワークは抜群の様子。本番の幕が開く日が、今から待ち遠しい。
公演は10月28日(水)から11月2日(月)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて。チケット発売中。
取材・文 佐藤さくら
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